未だ、分からない
すらいむ
第1話
これはある人の人生である。
もう5年前にもなる。いつも通り学校が終わり、友達、山内 穣と一緒に帰っていた時、突然後ろから、あまり関わりのなかったクラスの女子に声をかけられた。
「ちょっとこっち来て!」
僕は、どうせしょうもないことだろうと思い、無視して穣と一緒に、うるさいなぁ あいつら。 などと言いながら帰ろうとした。しかし、後ろの奴らはしつこく僕をずっと呼び止めようとする。
「んぁー!そう!海地くんが話があるって!言ってるの!待って!」
海地、僕の親友である森 海地 から話があるらしい。
僕は、やれやれ、と思い隣にいる穣に、ちょっとまってて。と言い残し背負っていた荷物を地面に投げ、ダッシュで女子の方に向かった。今でもなぜ、荷物を地面に投げたのかは分からない、、
そして女子の方に着くと、僕はある紙を渡された。
「それ見て、返事ちょうだい。」
と、女子は言った。
え、なになに、紙に書くほど重要なことがあるの?というか海地は?どこなんだ?
と思いながら紙を開いた。びっくりした。中には信じられない文字が書いていた。
好きです。
付き合ってください。
名前もなく、たったその2文が書かれていた。未だ信じられず、どうせイタズラだろう、と思い無言のまま、紙を返し、そのままダッシュでその場を立ち去ろうとした、が
「待って!!!」
僕はその大声に止まるしか無かった。その女子は後ろを指した。
「あの子からよ。返事くらいあげてあげれば?」
見ると、見覚えのある、というか毎日見ている女友達がいた。その子の名前は菜名 倫 。初めて今年同じクラスになって、たまたまこの間隣の席になった子だった。
僕は固まった。正直なぜ自分なんかにあの子が告白してくるのか、分からなかった。僕は急に恥ずかしくなり、
「え、えっと..............................。か、帰る、ばいばい。」
と言い残して多分赤くなっていたであろう顔を隠しながらその場を立ち去ろうとした、
が、見えてしまった。倫が涙を流しているところを。
いつの間にか、女子が殺すような目で僕を見ていた。僕は言うしか無かった。あの一言を。
「わかった。いいよ。付き合います、、」
ぶっきらぼうにそう答えた。すると前にいた女子は大声で後ろに向かって
「OKだってー!!良かったね!倫ちゃん!」
と言ったからさすがに僕はもう耐えきれなくなりその場を立ち去った、
これは僕、二上 安喜にとって初めてのことであった。
未だ、分からない すらいむ @slime_yusya
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