第1章-1話 修正人の誕生
今日は、俺の住む村では、昔からの恒例行事である収穫祭だ。
それと同時に、俺の15歳の誕生日でもあるのだ。
俺の国では、15歳から成人となるらしく、毎年成人になる人は皆、誕生日よりも盛大にに祝ってもらえるのが普通なのだが、俺の場合は、村で1番の催しである収穫祭で、村人達は皆忙しくて、軽く口頭で祝ってもらうだけだった。
日が真上に昇った頃、村に唯一ある教会に俺はいた。成人になると人は一つの職業(ジョブ)を教会にて授かることになる。
職業には普通職と特別職の二つがある。
今日は、この祝日に授かると良い職業を授けられると信じて、後伸ばしにしてきた成人の人達と一緒にいる。
俺はこの中では真ん中くらいの7番目に授かることになった。
「授かるならどんな職業がいいかな〜。」と、内心呟きつつ待っていると、最初に授かれに行った人から剣士や魔法使い、鍛治士などのオーソドックスなものを授けられており、少なからずや俺は期待していた。
そう、俺は戦闘職になりたかったのだ。
そして、とうとう順番が回って来た。
「7番目でお待ちのベルクリフ・ジェノフォードさん、式場にお入りください。」
式場の中に入ると、広さは人が50人程入りそうなくらいだなと思った。
部屋は、手前に何やら神々しい雰囲気を纏う魔法陣が床に描かれており、その奥には司祭の腰程の高さがある木台があり、その上には、古いがとてもしっかりとしている開かれた分厚い本が置かれている。
また、魔法陣のようなものの真ん中には、シンプルな木の椅子が置かれている。
「では、魔法陣の上に置いてある椅子に座って下さい。」
司祭がそう言うので、俺は魔法陣の上に置かれている椅子に座った。
「それでは、始めますので、力を抜いた姿勢のまま目を閉じて下さい。私が聖句を唱えますので、暗闇の中に光を見つけたら、それにご自分の意識を集中させて下さい。」
司祭にそう言われ、俺は「はい」と返事をして、言われた通りに脱力して座り、目を閉じた。
すると、司祭が聖句らしきものを唱え出すのが聞こえた。
しばらく待つと、俺の真っ暗になっている視界に眩い光が現れた。
それは、外界からの太陽光や照明の光とは違う光だった。
俺はその光に対し、言われた通りに意識を集中させると、その光に吸い込まれるかのように意識を持っていかれた。
視界が段々と真っ白になっていく。
真っ白な視界の奥に、一つの人影が見えた。
そこには、1人の老いぼれた男が立っていた。
俺はその光景を見て、疑問に思った。
何故なら、親に聞かされた話では、職業を授かる時に光の中で見る光景は、自分が授かる職業の説明を、姿の無い人物によってされるからである。
なので、俺が見ている老人は、姿もハッキリと見え、顔はちゃんとあるので、とても不思議に感じた。
すると、急にその老人がこちらに歩み寄って来た。
それに合わせて、自分の意識の中で自分の体が具現化された。
そこの横を、通り過ぎるかのように老人は歩き、すれ違い様に俺の肩をぽんと叩いた。
....ッ?!!
その瞬間、あらゆる情報が俺の頭に流れ込んで来た。
そこには、自分がこれから授かる職業の詳細と、その老人の記憶らしきものも流れ込んで来た。
俺は、自分の中に大量に入ってくる情報で激しい頭痛に襲われ、何も考えられなくなってくる中で、この現象について、ある村の男から聞いたことがある事を思い出した。
その男というより老人の職業はこの世界で唯一無二のものである特別職<大賢者>である。
世の修正人-ベルクリフ- 天昌寺 晶 @tensyouziakira
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