パッソーナ?

 8月


 今年も、夏が来た。


 生まれ変わって早2x年、何度も経験する夏は毎度のことながら暑いと感じてしまうが、年々暑さが増しているんじゃないか?とさえ思ってしまうぐらいである。



 そして、8月と言えば、お盆休みの帰省の時期が来た。

 実家には顔を出すべきではあるとは思っているものの、うーん……と悩むところ。



 帰省すればしたで、爺さんが"腕が落ちていないか!!"と稽古と称してつっかかってくるはず。



 こちとら、何年ものシゴキによって、返り討ちが出来るまでには成れたが、そのあとの疲れと気怠さにさいなまれる状況が何とも言えない。


 疲れてしまう理由の大半は、生半可な対応なんぞしたら、後々がさらに厄介になるために手が一切ぬけれないからだ。




 まぁ、今世における実父母には、顔を出すべきではあるんだろうが、"彼氏の一人や二人は……"という、口撃?攻撃?が今のところ来ていないのがセーフといったところか。



 あとは、甥っ子たちの面倒を押し付けられるかどうかといったところだろうが……



 仕方がない。


 顔を見せるために帰省するかと、帰省予定を立てておいたところに偶然にもスマホに連絡が入る。




 【いつ帰ってくるの?】と





 先手を取られて"メンドクサイ"という表情をしてたとは思う。




     *     *     *


 愛車のCBRにて、実家へと帰省を完了したその日の早々、予想通りのクソ爺の"稽古だ"と称する立ち合いを数十分の後に制する。


 相手が老若男女だろうと問わずに拳をぶち込んでくる、狂人まがいの爺の腕前を知っているからこそ、先読みしては先の先にて制する格好で制圧する形となった。



 「腕は訛っておらんな」と言われても、単調化してるからボケはじめてんじゃないかな?と思ったりはしたが……



 ただ、その翌日に思いもよらない場所の筋肉痛になりつつも(爺からは、鍛錬を怠ったからだと叱咤をうける)、実家に遊びに来ている甥っ子と姪っ子たちの面倒見役を仰せつかる。


 まぁ、実家が保有する裏山の散策につれだすんだが、その地理に詳しいのは、結局自分だったりするわけで……


 修行と称して山籠もりやらされたし……(思い出したくもない幼少期の記憶



 そうして、連れ立っては隠れたスポットへと"みんなには、秘密だぞ?"と伝えたとたんに、"秘密基地?!"とか言い出して期待の目をされては連れ出し、今現在は川遊びをしているのを静かに静観していたりする。




 うん、涼しい。

 まさに、清涼というべき状況である。



 クーラーボックスからドリンクを取り出し、甥っ子や姪っ子を監視していると、何気に甥っ子たちの中に、見知らぬ子どもが増えている。



 一応、この裏山の持ち主はうちの者とはなってはいるが、田舎ではそういう私有地だろうと山遊びでくる地元のガキがいないわけでもない。


 そう考えれば、やっぱりジモティーなんだろうか?と、高台からの川へのダイブをしたりで、遊びなりてる様子が見て取れる。



 うんうん、私も、そういう事やってたなーと観賞に浸っては、ここは寛大な気持ちになってはジモティーの事は気にしない事にしたかった。


 というか"気にしちゃいけない"と思った。





 なにせそのジモティーの子、角あるじゃん。

 角生えてるじゃん。



 日本の昔話の奴で電電太鼓もってるガキンチョがのってる架空生物のような感じで生えてるじゃん。




 ま、まぁ、ほほえましくも、一緒にキャッキャと楽しく遊んでいるので、見なかった事にしようと。

 うん、こういうのは、触らぬ神になんとやら……




「あの子も、一人寂しい思いをしていたので助かります」




 唐突に側面から声が聞こえてきたので声の方に振り向いたいら、和服姿の白肌白髪美人さんが日陰となる自分の隣に腰を下ろしていた。


 うん、そういうあなたさまも同じようなお角を生やされておりますね……






 というか、この裏山って、そういうのおったん?




     *     *     *



 いままで、そんな事に遭遇した事なかったんだが……



「かあさまー!」



 という声で、手を振っているのを見ると、まぁ、そういう事なんだろうなーと割り切る。


 ついでに、クーラーボックスにてもってきていたビールをお裾分け。

 いや、お供えになるのだろうか?



 つまみは、チーズにアタリメと一緒に差し出す



「あら、美味しい」



 うーん、すごい俗なもので喜ばれるのは、よいことなのか悪い事なのか……


 


 ただ、水場から黒い嫌な気配を感じるし、目にも入った。

 甥っ子たちに徐々に近づいている存在というのがいた。



 しゃーない、これはアレだな。



 近くにあった投げやすそうな石を拾いKARATEを発動、それを手に持った石にも通す形で意識する。



 そうして、その人型になろうとしている物めがけて、ぶん投げ……と、同時にはじけるように消え去る黒い影



 当たる前にはじけ飛んだよな?



「あら?余計な事をしましたでしょうか……」



 どうやら、お母様もお気づきになられて行動していたらしい。



 こちらも「せっかく楽しんでる子供たちに気づかれたら、楽しくなくなるでしょう?」みたいな事を伝えたら、すごくニコニコされた。




 そうして、川遊びに励んでる子たちの中に、緑色の肌して皿載せてる奴もいたりし……増えてる!?





「あれらは大丈夫ですよ。しっかりと言い聞かせておりますので」




 さいですか……



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補足

〇オカルト(妖怪系)

・白龍の親子

 母と子で避暑地として主人公家系の山にきている白龍

 人化すると白肌のきれいな人となる。

 角が見えるのは、そのいうのが見えるひと限定、普通の人には見えない

 なお、クラスは水神様レベル。



・緑色で皿のっけてる存在

 尻子玉をとる存在だが、白龍に仕えるという意味があるため

 そういう悪さはしない教育(おはなし?)がされている



・黒い存在

 水場に集まった陰気の集合

 神気が近いために、その存在にきづいて集まってきた





〇家族

・爺さん

 KARATE関連すべての元凶

 元何やってたかはダンマリ「お前に継がす気はない」と頑固一徹

 のわりに、武術だけはしっかりと継がせにきている



・甥っ子、姪っ子

 弟の子供(長男6歳、長女5歳)

 不思議な子たちと出会っても怯えなかった。

 怖いもの知らずは、家系なのか血筋なのか。

 お友達になったため、こっそりと白龍様から加護をもらってたりする。



・パッソーナ?(意味:人?)

 本名:音無 響子(年齢30にはなっていない ったらなっていない!)

 お盆帰省で不思議体験をさらに経験する。

 そして、苦も無く対処できてくるあたり、一般的な人?なのかも疑わしくなってくる。

 なお、白龍様には気に入られてお供え分以上に加護られた模様。

 それが良い方向に向かうのか、それとも……

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