女帝の愛したスープ


 立談百景さんが日記

https://kakuyomu.jp/works/16817330654786004748/episodes/16817330655148350674

で紹介しておられた、セブンイレブンのスープを試してみまして、なるほど美味しい、となったので最近よく食べております。

 僕はミネストローネがお気に入り。


 スープはいいですね。

 お腹にズンと満ちたりて、元気が内から湧いてくるような気がします。

 食事は活力の源だなあ。


 などと食べながら感じていたところ、ふと、あるスープのことを思い出しました。

 その名は「オリオ・スープ」。

 かのマリア・テレジアがこよなく愛したという宮廷料理です。



   *



 マリア・テレジアの名をご存知でしょうか?

 時は18世紀。次第に混迷を深めていく激動の時代にあって、ハプスブルク帝国――オーストリアを支えた女君主です。

 「あの」フランス王妃マリー・アントワネットの母親、と言ったほうが通りが良いかもしれません。


 マリー・アントワネットをはじめ、ハプスブルク家の女性にはいわゆる女傑タイプが非常に多いのですが、マリア・テレジアはその中でも傑出した人物でした。

 皇帝の長女として生まれ、心優しい公子と恋愛結婚。

 そこから20年間ほとんど休みなしに妊娠を繰り返し、出産した子供の数は実に16人!!(史実です!!)

 これだけでもべらぼうですが、妊娠中にもバリバリと政治の仕事に立ち働き、赤子を抱いて戦争の指揮までっていたというから尋常じゃありません。


 通称「女帝にして女王カイゼリン・ウント・ケーニギン」。

 オーストリアが誇る肝っ玉かあちゃん……それがマリア・テレジアという人物です。



   *



 マリア・テレジアの超人的な活力の源となっていたのが、超高カロリー栄養食「オリオ・スープ」でした。

 マリア・テレジアは宮廷内にオリオ・スープ専用の厨房まで作らせ、一日に7回も8回もこのスープを食べていたというから、よほどの大好物だったのでしょう。


 そのレシピは実に豪快。


1 仔牛肉10kgをバターで炒める

2 大鍋でスネ肉15kgを煮込む

3 1と2を混ぜ合わせ、大量の根菜類を加えてアクを取りながら煮込む

4 焼き栗、砂糖、ウサギ肉、ベーコン、カブ、山ウズラ、野鴨、キャベツ、根菜、レンズ豆をいちいちソテーして3を加えて煮込み、裏ごしする

5 牛肉1kgに大量の卵白と4を加え、加熱

6 さらに根菜、キノコ、鶏肉、羊のもも肉を加えて仕上げる

(参考文献:「ハプスブルク家の食卓」関田淳子著)



 うまそう!!


 多種多彩な食材をぶち込み、煮込みに煮込んで作られた重量級スープ。

 こんなスープを常食していたためか、肖像画に描かれたマリア・テレジアも、ほっそりとした美少女から、太……もとい、貫禄のある御姿へと変化していきます。

 ヨーロッパ最大の帝国を引っ張っていくには、莫大なエネルギーが必要だったのでしょうね。


 やっぱり食は元気の源。

 今日も明日も頑張るぞ!! と、スープをすすりながら奮い立つダクさんでありました。

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