Leicester.

君に寄す手記




 面影をたどる

 春の朝の流れる雲に

 夏の夜のかすむ満月に


 あのときの出会いも言葉も仕草も

 もう彼方へと消え去って久しいのに

 その面影だけをいつまでも

 巡る季節の端々に

 すれ違う事象の後ろ姿に

 追いかけて探し回る


 いつまでも


 僕らの思いは同じではない

 あの頃の色も音も

 通り過ぎてくすべてのものを

 僕らは決して同じようには受け取らなかった

 不思議な世界

 僕らはいつも同じものを見て聞いていたのに

 誰一人同じことを感じはしなかった

 傷つき傷つけられて

 許しなぐさめあっても

 僕らは同じにはならなかった

 彼は知っていたのだろうか

 僕らが何を望んでいたのかを

 彼女は知っていたのだろうか

 彼らがどれほど愚かであったかを

 

 罪はいつも

 そう いつも罪は罰を与えられてはじめてその重さを気づかせる

 罰は本当は

 自らが自らに課してこそ意味を為す

 そしてそれらは

 正当に下されることはない いつも


 いつも いつも いつも

 だからこそ僕らは苦しい


 秋の空の冴えた青に

 冬の水の深い黒に

 面影をたどって





     ―― Leicester.

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