第20話
巨大な地下街をギャル2人が足早に歩く。
地下街は若者のたまり場になっており、昼夜構わず賑わっていた。
と言っても賑やかなのは地上との出入り口がつながっているエリアだけで、少し奥に進むと街頭と住宅だけが立ち並ぶひっそりとした光景が広がっている。
さらにその奥。
地下街の最奥には、大きな公園がある。
この時期、公園には白い彼岸花が咲き乱れていた。
中央に鎮座する、大きな水晶も相まって、不思議な雰囲気を醸し出している。
「わぁ! ほんとに咲いてる!」
そう言うとギャルたちは楽しそうに騒ぎながら写真を撮りはじめた。
暫くすると、天井の大規模照明が落ちて街灯だけになる。
「え、もう夜?」
「手前の方はずっと明るいから時間わかんないよねー」
「ななみ待ってるらしいから早くもどろー」
ギャルの一人は足早にその場を後にしようとする。
残されたギャルはそれを追おうとして、その前にもう一度だけ花畑を振り返る。
するとそこに、白い影が立っていた。
暗闇でも不思議とハッキリ見える。
白いワンピースに銀髪の、小さな女の子。
ギャルが驚いて瞬きすると、その姿は消えてしまった。
ふと、この街の噂を思い出す。
かつて、オタク狩りが猛威を振るっていた頃、ここにはオタクの街があったという。
そこには小さな女の子の姿の守り神が居て、住人をオタク狩りから守ったと言われている。
その神様は今でもこの街を守っていて、暗闇の中にいると会えることがあるらしい。
ギャルは深淵に向けてそっと手を合わせ一礼すると、繁華街の方に走って行った。
ー 完 ー
闇アキバ @ksilverwall
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