第3話 アルトの友だち作り

3月5日、出発して3日目。今日は僕と同じく10歳で基礎学園に行く人と会う。


初日は朝から夜まで休憩を入れながら進んだおかげで、町で宿を取ることができた。そこは商人の町だった。ロビンさんによると、分岐点で行商人が休みをとっていると自然と人が集まりだした、らしい。


2日目もそこにとどまり、ロビンさんは商売をした。僕もお手伝いをした。さすがは商人の町、そこかしこで大声がとびかった。


そんなことで、今日は朝はやくから商人の町を出発。一昨日と同じ街道を行く。商人の町は2つの街道の交差点で、僕たちが進んでいるのは南北につながるマラカイト街道だ。北へ行くと僕の村を通り過ぎて他州、南へ行くとマラカイト州都デューを抜けて他州から王都までつながるらしい。


そのまま昼食を食べてしばらくすると、街道の横に小さな脇道が見えた。


「この先がミルクの村です。今日はここで宿をとります。少し早めですがここで積む商品のチーズやヨーグルトは重いですから」


ロビンさんはそう言って馬の頭を脇道……ミルクの村の方へと向けた。


ミルクの村の特産品はチーズやヨーグルトだ。また僕の村はラビットの村というらしくその村の特産品が村の通り名になるようだ。


村の近くに来れば、強いにおいがした。これが乳の加工と牧草のものだという。独特のにおいを感じていると、村の門をくぐった。


ミルクの村は、僕の村よりも少し大きかった。ロビンさんは商品をさばいていった。僕はその手伝いをした。商品が多いためか気がつくとあたりは暗くなっていた。


その夜、僕とロビンさんは空き家を貸してもらった。体が疲れていたようですぐに寝てしまった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


目がさめたのは明け方だった。ベルの音がしたからだった。少し離れて横にいるロビンさんはまだ寝ていた。


外に出てみると開けた丘に牛が見えた。昨日は忙しくて周りの風景を見ていなかったが、この村のまわりは丘で囲まれていた。よく見ると牛のとなりに人影があって、それが牛を連れてだんだんと近づいてきた。


「あんたも州都に行くのかい? ああ、あたしはラリベル、州都に行くんならいっしょさね」


「僕も州都に向かうよ。僕はアルト、ラビットの村から来たんだ」


丘から降りて来た女の子……ラリベルにあいさつをした。今、ラリベルは牛を生い立てる仕事の途中らしいので、またねと言って別れた。


僕はよし、と気合いを入れて朝の運動をはじめた。

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