第2話 アルトの旅路
村を出て1時間程すると、行商人さんは馬車を止めた。
「いったん休憩しますよ。初めての馬車は大丈夫ですか? 」
「とても速いです! 景色もきれいです。でもちょっとおしりが痛いです……。これっていつもどうしているんですか……行商人さん? 」
「私の名前はロビンですよ。気安くロビンと呼んでください。それと、先に言わなければなりませんでした。馬車に乗る時には少しコツがありまして……」
僕が質問すると、行商人さん……ロビンさんは休憩中、馬車に乗る時のコツや村から州都デューへの道筋を教えてくれた。村から州都までは寄り道をしないで7日、途中でほかの村に寄るので10日ほどかかるらしい。
ほかの村には僕と同じく10歳の基礎学園に通う人がいるようで、僕は初めて会う「同い年の人」にそわそわして、学園に通うことを想像すると、ハッと大切なことを思いだした。
「ロビンさん! お金ってどれだけ必要なの? 干し肉42枚分で足りる? 」
そう言って僕が腰からお金を出すと、ロビンさんは苦笑いをした。
「では、その話は馬車に乗ってからしましょう。御者台はもう1つ空いてますので、そちらに座ってください」
今しかできませんから、と付け加えてロビンさんは僕を隣に乗せて馬車をだした。
隣に座っているので、馬車の中でも会話をすることができた。舌をかまないようにすることを注意しながら。
その話の中でお金に種類があったことがわかった。要約すると
小鉄貨100枚→大鉄貨10枚→小銅貨1枚
小銅貨100枚→大銅貨10枚→小銀貨1枚
小銀貨100枚→大銀貨10枚→小金貨1枚
小金貨10枚→大金貨1枚
干し肉1枚→大鉄貨1枚
そして僕が持っていたお金は
小銀貨1枚
大銅貨5枚
小銅貨13枚
大鉄貨23枚 だった。
「注意しておきたいことはお金を見せ過ぎないことです。たやすく見せてしまうと賊に狙われたり、商人に値段を吊り上げられたりします。お金を貸してと頼まれるかもしれません。貸したお金はかえってくると高をくくっていれば、そのまま消えることもあります」
ロビンさんはそのあと、お金の正しい利用方法や計算まで教えてくれた。
こんなに教えてくれたことに対して「ありがとう」と言ったら、悪徳商人に騙されないようにほかの人に教えるのが商人の務めですから、と答えてロビンさんはしばらく、遠くを見たまま無言で御者台に座っていた。
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