僕の『天職』は家事師でした
@sho-pasta
第1話 アルトの出発
3月2日、今日は待ちに待った州都デューへの出発の日だ。州立基礎学園に入学するためだ。昨日は興奮してなかなか寝付けなかった。目をこすりながらベッドをおりて、顔を洗ってから朝食を作って食べる。キャベツと干し肉のスープにパンにしよう。
食事を終えて外に出ると春風が僕の鼻をくすぐった。村のみんなもすでに起きていて、狩猟の準備や農作物のキャベツの収穫をしていた。
「アルト、今日出発するんだろ。これ持ってけや」
そう言って干し肉を渡してきたのは、僕に狩猟を教えてくれたガロンさんだった。両親がいない僕を育て上げてくれたのもこのガロンさんだった。
「ありがとう。勉強頑張ってくるよ」
「まっ、ほどほどに頑張れや」
うん、と返事をする僕を見ることなくガロンさんは狩猟に行ってしまった。
よし。ガロンさんに挨拶をしたし、持ち物の確認をしよう。
・ナイフ
・パン
・干し肉
・水筒
・お金 42枚
……思ってたより少ない、かも。お金は頑張って数えた。てかお金ってどれだけの価値があるんだろ。いつも行商人さんに渡す干し肉が1つで1枚のお金だから……干し肉42 ?
知らないことを考えても仕方ないから後で行商人さんに聞こう。州都まで行商人さんの馬車に乗ることだし。あとは行商人さんを待つだけかな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
行商人さんはお昼にやってきた。3か月に1回はこの村に来てくれる。前回もちょうど3か月前の11月2日あたりだった。その時に乗る約束をしたので今日は行商人さんについて州都に行く。州都までは10日ほどあれば着くらしいので、その分の食料は用意した。
この村ではガロンさんたちが狩ってくるウサギの干し肉やキャベツなどの野菜を売って、州都から服を買っている。村のみんなが商品を売買して、僕も手伝いをしているといつも通りすぐに終わった。終わると同時に僕は荷馬車に乗り込んだ。この村には僕のほかに10歳の人はいないので今年学園に行くのは僕だけだ。
「それじゃ、出発しますよ」
行商人さんの声の後、馬2頭がひく馬車は進みだした。見送りは12人ほど来てくれた。その中にはガロンさんもいた。いってらっしゃい、と手をふってくれたのに手をふり返して
「いってきまーす! 」
と声を大きくして言った。
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