第13話

三井が、いや、samがミカの部屋に転がり込んで最初の朝を迎えた。

  

samは、夜中まで起きているミカが寝ているうちに仕事に行こうとそっと起き出しても、ミカは目を覚ます。


「おはよーってなんで私が寝ているのに起さないのよ!朝御飯は?」

 

「いや、朝は前から食わないで仕事行ってたからいいんだよ」

 

「そう…まぁ、私も朝は食べないから良いか…でも、お弁当も要らないって言うし、夜だけは一緒に食べてよ!」


「うん、夕方には帰るからミカのメシを一緒に食おう…で、一緒に店に行こう…俺はお客としてね」


「客じゃないから…でもカウンターにいつでも座っていてよ。そんで忙しい時はカウンターの中ね!」


ミカは唇を尖らせるとチュっとキスをするsamに笑顔で手を振った。


「行ってらっしゃーい!頑張ってね!」



仕事を終え、真っすぐミカの部屋へ帰ると、ミカは夕食の準備を済ませていた。


「まだ、夕方だぜ。今食ったら、後で腹減ったってことになっちゃうよ」


「大丈夫、店終わったらまた一緒に夜食食べるから…それも作ってあるし…」


「あはは…ミカは大食いだからな…ププッ」


「食べたら一緒にお風呂入ろう!」


「えぇー恥ずかしいな」


「今更何言ってんの?夕べだってsamの裸見てるんだからね」


「あはは…言って見ただけ…恥じらいだよ…」


「さぁ食べましょ!ハンバーグよ!」


「うん」


「どう?」

 

「うん、うまい!ミカのメシは世界一だよ」


「あはは…そんなことはないけど、そう言われると嬉しいな」


「いや、元プロのコックの俺がうまいと思ったから本物だよ」


「そうだった。今度、samも何か作ってね」


「うん、いいけど俺が作るよりミカのが絶対うまいよ」


ふたりは腹がパンパンに膨れるまで食べた。


「マジうまかったよ、ご馳走さま。じゃ俺が洗い物しとくから、ミカは風呂入って化粧しな」


「一緒に入らないの?」


「今日は風呂に一緒に入るとしたくなるから、後で入るよ。店開けるまで時間あまりないからね」


「じゃ店閉めたら、夜食後に一緒に入ろうね」


「おぅ!判った」


風呂から上がり、髪を乾かしているのを横目で見ながら、samもバスタブに浸かる…。


風呂から上がると、ミカは真剣な眼差しで化粧をしていた。


「アイライン書く時って、どうして片目瞑って口を開くんだろうね?」


鏡に写るミカの顔を見ながらsamは言った。

 

ミカは真剣だから返事をしない。


鏡を通してミカに見える様に、samは変顔をする。


「止めてよ!笑わさないで!!」

 

「髪がまだ乾ききってないね。拭きましょうか?」


「止めて!」


「背中痒くない?掻いてあげましょう」

 

「顔が揺れるから止めて!!」

 

「ちょっとほっぺ触っていい?」


「だからダメ!」


「じゃ、乳は?」


「しつこい!!触ったら殺よ!!」

   

samは大人げなくミカをかまっていた。


鏡の中でsamを睨み、一生懸命メイクを続ける。


samはかまうのを止めて、ミカの脇に寝転がる。


化粧が終わり、笑顔に戻ったミカはsamに言う。


「もう、ジジィのクセにsamは猫みたいだな」 


グロスがsamに移らないように、舌先でペロっとsamの頬を舐めた。


「さぁ、店を開けよ!!」


ミカはスナックのママの顔になった…。


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スナック みか ぐり吉たま吉 @samnokaori

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