素晴らしい作品でした。
この作品の魅力は何といっても主人公。
どんでもない過去を経験し、本来なら人間不信に陥ってもおかしくない環境から立ち直った人間はえげつないほど懇篤で清い心を身にまとってた。
同性同名の佐藤一と比べられ、名前ではなく「2番」と呼ばれ続け、完全に孤立してもその心が黒い霧に覆われることはなかった、そんな主人公は本当にかっこよく、人間が出来過ぎてるというか一つ一つの行動や言葉に優しさが溢れ漏れてる、彼はもはや他と比べるような領域には存在してないまさに「無二」という言葉がよく似合う人物で、そんな主人公に恋するヒロインも全校から2番と揶揄されてた主人公の人柄を早くに見抜けるほど清い心を持ってて本物の優しい心を持ってるからこそ見抜けることができる、お互いに。
そんな魅力的なふたりの恋愛物語は読んでるこちらも心が洗浄されるような感覚で読むことができました。
早い段階で2人は結ばれますが、そこがピークではなく物語が進んでいくにつれ結ばれた時点よりもさらに深く強い絆で結ばれて行く、そんな作品です。
さまざまなキャラクターの生き様が見れる物語。
「二番目な僕と一番の彼女」の後日譚ということで、キャラクターも馴染み深い子たちが登場します。
まだ青臭さの残る彼らの青春は、時にほろ苦く、時に甘酸っぱいものです。
けれど、迷いながらも進み続けていく彼らの強さに、いつの間にか応援したくなっていました。
誰もが主人公になれる。
登場人物一人一人のそんな部分を、色鮮やかに描いた作品です。
光が照らす場所には、影も落ちている。
しかし、誰かが影の中に居るのなら、手を引いて光の元へと連れて行く。
そんな存在が、傍にいる幸せ。
絆と友情と恋と愛。
全てをこの物語で見ることができます。
青春というサイダーに浮かんだ泡を、ぜひ覗いてみてください。
彼らの生き様に、きっと心動かされることでしょう。
前作「二番目な僕と一番の彼女」の主人公を始めとして彼らを取り巻く周りの人物達の群像劇が序章に続き始まりました。
視点が変われば同じ出来事も違う印象になりますし、合わされば広がりも深みもある物語になりますが、作者はその実力を備えた筆力で魅力的な群像を描いて読む者を惹き込ませていきます。
彼らの行動の裏では合間では何が起きていたのか、ピースを埋めるかのようでもあり二次創作のようでもあり、前作のファンなら必ず楽しめると思います。
前作は4章で終わり、今回の区切りも(交響曲などで使用される4つまでが普通の)楽章単位ですが、どう続くのか期待しています。