旅は道連れ

勝利だギューちゃん

第1話

「じゃあ、私こっちだから」

「ああ」

「ここまで、一緒に旅が出来て楽しかったよ」

「ぼくも」


「またね」「また」


差し出された手を握る。

とても、やわらかくて温かい。


彼女とは旅の途中で偶然出会い、意気投合。

そして今日まで、一緒に旅をしてきた。


時には喧嘩もしたが、仲良く旅をしてきた。

とても楽しい時間だった。


でも、彼女には彼女の旅がある。

僕には僕の旅がある。


いつまでも、一緒にはいられない。


「君との旅は、楽しかったよ」

「僕もだよ」


彼女は自分の目的地へと向かうために、列車を降りた。

僕はそれを見送る。


互いに手を振っていた。


「さてと・・・行きますか」


僕は席に戻り、自分の目的地へと向かう。


この国は鉄道王国。

また、どこかで出会う事があるだろう。


その時はまた・・・


「あのう・・・隣よろしいですか?」

声をかけられる。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

隣に座った女性が声をかけてきた。


「どちまで行かれるのですか?」

「〇〇まで」

「私は。△△です。そこまでご一緒しても、いいですか?」


△△は、僕の行先の途中の駅で別れる。

新しい旅の仲間が出来たようだ。


またしばらくは、退屈しないで済みそうだ。


「申し遅れました。私の名前は・・・です」

「僕は、・・・です」

「よろしく。・・・くん」

「こちらこそ」


差し出された手を握る。

柔らかくて、温かい。

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旅は道連れ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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