死ぬな

後悔

友達の話。

「死ぬな」が口癖の友達がいた。

「コンビニ行ってくるわー」「気を付けてー。死ぬな」

「テスト三十点なかった」「おいおい。死ぬな」

「次の体育持久走なんやって」「マジかよ。お前死ぬなよ」

最初は、面白いやつだなと思っていたが、最近は少し腹が立ってきた。そんなことで死ぬわけないだろ。すぐ死を口に出すお前のほうが死ぬぞ。だから、理由を聞いてみた。

「お前さ、なんですぐ死ぬなって言うんだよ」

「はあ、そりゃ死んでほしくないからだろ」

「それだけで、俺たちに何回も言ってるのか？」

「...お前、俺の親知ってるよな」

「あの全然雰囲気違えご両親だよな」

「そう。両親はさ、本当の親じゃないんだよ。里親なんだ。だから雰囲気も違うさ」

「え？」

「死んだんだよ。本当の親は。大嫌いだったから、死ねつったんだよ。そしたら、本当に事故で二人とも死んだんだよ。もう言って後悔することなんか言いたくない。」

彼の目からは後悔というよりも、懺悔に近いものを感じた。

まるで本当に自分が殺したようだ。