第3話
そうそう、精神的百合だとも。
もちろん私はそれを今から言う。
今度こそ馬鹿げたつまらない発言をしないと誓おう。
先日、日々を生き抜くための苦行をしていたのだが息抜きとしてこんなものを読んだんだ。
まあ、勝手にURLを出すのはあれであろうから、いや、彼、もしくは、彼女が作成した作品は、まあ、いい。
前提知識がなくとも教養溢れる君であるなら、少なくとも伝わりはするはずだ。
彼女の作品を紹介するのであれば、そうだな。
これは百合である。
純粋で純然たる百合だ。
「より派手で狂行!」「インパクト!」邪念は篭っていない。
百合の概念を意識する際の、あの、私たちを包み込む崇高なる多幸感。
日々の活力を継続させる熱量。
好きだ。
であろうか。
まあ面倒だからURLを貼ろう。
https://kakuyomu.jp/works/16817330655678758393/episodes/16817330655678774602
彼女の作品を例にしながら(彼か、彼女か全くもって知り得ないが夢は大きい方が良い)精神的百合の良いところを語ろう。
まず第一に直接的で俗物的な表現を多用しないと言う点にある。
「好きだ! 嫌い! 興奮した! 甘酸っぱい! 手を繋いだ!」
実につまらない、百合であると言う点は変わりないが読書の想像を狭めてしまう。
例えばだ。
私は今信号機を見つめていたのだがそれを文に表してみよう。
「金属製の、視界に映った限りだとアルミニウムだろうか、赤と緑の点滅を繰り返す、いわば人を人たらしめる規則のような、鎖のような。背景と同化しているもの」
うん、実につまらない。
素材なんかに興味がなければ、金属製だなんてわかりきっている、赤と緑の点滅だなんて馬鹿でも思いつく、人を人たらしめる規則のような、規則と言っているじゃないか! 比喩ではないし! 知っている! 鎖と規則は類似している!
退屈だろう?
ならば退屈でつまらなくない文とはなんたるかを説明しようではないか。
文学の才能溢れる友人から頂いた文だ。
ひ孫のようなものだろうか。
それとも私の娘同然であろうか。
「ネクタイがズレていないかどうか気が気でない。私は黒い腕時計を見た。どうやら杞憂だったらしい。私は髪の毛を見た、いつもの私だった」
彼は天才だ! その発想はなかった! 腕時計のガラスを鏡がわりにするなんて!
こう言うものが退屈ではなく面白い文という。
私もこんなものが作れたらと、羨ましい限りだ。
さて。
彼女が作った作品にもこのようなものがあった。
精神的百合の良い点とはこのようなものを使って読者に百合の素晴らしさを示すということだ。
肉体的と精神的、両方に含まれるではないか!
ふふ、確かに「同じであるかもしれない」だが「精神的な百合で感じる『それ』は『それ』でしか感じられない」賢い君ならわかるはずだ。
ここまで読むとは物好きだな君は、君のような退屈な文を読んでくれる人は貴重だ。
誇っていい。
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