巡礼者は廃墟に散った

胸の虹が叫んで 死んだ

嗚呼 嗚呼 今日もまた

ウワノソラでもタンブリン

誰にも聞こえない炸撃が落ちた


腕をがれてもがく人

楽園のに壊された人

ふらつき辿り着くは脳髄の海

割れんばかりに

迷い込む

沈み込む

悲しみの 悲しみの虹の人


鼠掻きむしる番人の肩に

赤涙せきるい香る蒼白の鳩

一万光年の彼方に浮かぶ

あの漆黒の運命の

止むことなき戦慄わななきに

震え

怯え

そして 光るほむらに翔んでいく


嗚呼…… 嗚呼!

けれど 僕の鳥は絶望にせた

あの太陽が朽ちる頃

言葉は愛をうしなうと

知りたくもなく知ったから


GARAKUTA Society に住む

あばら浮き出た想い出たちは

天の加護なき神の子を嗤う

 流れ星の死骸運びのありの群れ

 近くて遠い白銀のアンビュランス……

送信者不明の信号のパルス

土に還りしユートピアンの

永久とわ引攣ひきつる二つの頬を

Love In Vain のギターのリズムで

 Pi Pi Pi……

時間ときの茨にくるまれて

 プレパラートに 彼人かのひとは見る

 背中を穿つ 十字架の夢を)


切り落としたのは誰だろう

鼓動の廃墟に突き挿した

水鳥みたようなマイクロフォンの首の根を?

(投げつけられた夕映えに

 痩せることなく貼り付いて

 焼け死ぬことも忘れ去り

 灼熱仕立ての眼球が

 小さくなって何処か朧気おぼろげなこの僕を

 大きな窪みの闇の奥から

 ただただ鋭く見つめている)


すると

丘の上に 教会が

独り

ぽつねんと

揺れている……


土色の風

辺りに響く鐘の

余罪のように吸い込んで

斜めに夜を吐き出している

かげる余韻に潜むのは

黙してはじけるディランのブルース

墓石撒き散らす道化師の

ゆがんだ千鳥の孤独な足に

静かに静かに重なり合う

暗号だらけのモンタージュ 

僕の列車は まだ見えぬ

 誰の列車も もう見えぬ


丘の上に 教会が

独り

ぽつねんと

揺れている……


さあ 今こそ

僕は言うのだ

別れを告げるのだ

幼い日々の束の中

ふと貝殻の耳に深く刻んだ

躊躇ためらいがちなレクイエム

とこに横たわるピアノにも似た

空にもたれる地平線の

あの甲高い心臓の辺りに───

嗚呼……! 地獄に墜ちた僕の鳩よ!

の鎮魂の音声おんじょう

目盛りいっぱいの猛き咆哮を

どうか激しく鳴らしておくれ!


明日の誰かに繋がりますように

誰かが天啓に満たされますように

砂漠に生きるさそりのように

堕落を狙う悪魔の尾から

どうか 神様どうか

人の希望がいつまでも いつまでも

美しく護られますように









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詩集 紫檀薔薇の香の嘘 もざどみれーる @moz_admirer

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