光の螺旋

厚い雲の遥か彼方

僕らの知らない何処かの国で

遠い遠い夢が壊れたらしい

鉛筆に降り積もる埃を

背中を丸めて小さくなって眺めるような

きっと そんな景色なんだろう


履き慣れた靴でコンッと蹴るアスファルトは

いつも虹の本能を落としてしまう

サイレン越しの心臓は儚くも

腐った扉がやがて破られるのを

穴に潜んだ兵士の顔で凍え待つ


嗚呼 途切れた夕映えに

何故に人は涙する

焼けた言葉の海の向こうを

何故に人は知りたがる


そう思った時 僕の瞳は

思いもよらずに飛び込んでいった

暗い空にぽっかりと浮かぶ

淡くも力強い 光の螺旋の生まれる方へと


神様の独り言によれば

それは 彼方の星の落とし物

迷える星の 小さな小さな輝きの実


哀しみが過去をめぐるたびに

どんなに空を仰いだっていいじゃないか

降り注ぐ光をとても眩しく思えたら

僕らはいつだって

未来を生きているのだから

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