春から冬へ

自分の影を静かに剥がして

迷路をほどいていく手触りを

君はどれほど望んでいるだろう

痩せた言い訳の合奏に

一体どれほどの喝采があるだろう


覚えたてのユートピアは

極彩色のハリネズミ

拳で愛を殴るもどかしさを

君の胸に留まったオオルリが

一羽 無邪気に笑っている


カーブを曲がり損ねた優しさに

錆びた蜥蜴とかげがつきまとう

無駄にギシギシ這いながら

ひたすら尾を切り落とされる君は

翼の折れた想い出の前で

これからも時代の風を結んでいくのだろう


でも 春霞はきっと忘れない

無垢のキャンバスに描いた明日を

たとえそれが

白けた雪に哀しく覆われたとしても








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