白日の元に晒される闇2-1
ごちゃごちゃと後ろで文句を言う警察官を睨んで黙らせる。
元はと言えば、警察が無能だから俺たち探偵側が奔放することになったというのに、何が不満なのだろうか。
なんとか間に合った。
いや、ギリギリで遅刻ではあるが。
僚真が怒ったような顔でこちらを見つめてくる。
「遅刻だよ、ツキトシ。間に合うように来るって言ってたじゃん。自分でそう言った癖に、嘘つきだ!」
僚真の言葉にカチンときて言い返す。
「誰が嘘つきだ。仕方ないだろ、僚真。監察医務院とドラッグストアに行って、それから国際電話もかけてたんだからな」
お陰でクタクタだ。
だが、収穫は大いにあった。
これで事件を正しく解決出来る。
冤罪になんか、させるもんか。
探偵じゃなくても、事件解決には貢献できるんだから。
「嘘ってのはどういう意味だ、テメエ」
今にも突っかかってきそうな矢野に向かって、もう一度言葉を放る。
あくまでも、冷静に。
「理解できなかったのなら、もう一度言ってやる。貴方は自分のために睡眠改善薬を買ったんじゃない。赤木圭太を殺害するために購入した」
「ツキトシの言う通りだ。さっき言ったろ。アンタは被害者を気絶させたって。犯行前に睡眠薬を飲ませたんだ。大方、飲み物にでも混ぜたんだろ。この家にある子ども用飲料はオレンジジュースしか無かったから、多分それに」
心当たりがあるのか、僚真が声を上げる。
「オレンジジュースは味が濃いもんね。粉末にして混ぜたら、何が混入されてたって分かんなくなりそうだよ。圭太くん、オレンジジュースの時はちょっとだけ薄めてって言ってたよ。濃いの好きじゃないって」
「だから、どこに証拠があるっていうんだよ。それ全部、お前らの予想だろ。探偵だって言うんなら、予想の話ばっかりしてないで、証拠を出してみろよ」
心底分からないといった風に、矢野は笑う。
証拠なんて無いとでも思っているのだろうか。
想定済みだよ、矢野慎。
だからこれを持ってきたんだ。
とっておきの証拠をな。
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