白日の元に晒される闇1-2
「アンタはさっき、宿題してただけだってのに、と言っていたな」
先程の会話を引き出す。
「それがどうした?」
「なぜ被害者が宿題をしていたと分かったんだ?」
「学校から帰ったら、いつも宿題してたからそう言っただけだよ」
矛盾点を炙り出す。
「へえ。でも、アンタ言ったろ。圭太くんが寝てるから一五分後に起こせと元博に。元博に寝てるって言っておきながら、今は宿題をしていたと言った。矛盾しているな。アンタの証言が正しければ、被害者は寝ている間に殺されたはずだ。元博が犯人だとしたら、尚更そう思うんじゃないのか?」
「言葉の綾だよ。ちょっとした会話をネチネチと掘り下げるなんて、探偵は随分と暇らしい。言いがかりも良いところだよ」
「これも全て、事件を解決するためだ」
とはいえ、一言一句覚えていたのは元博だ。
やはり、事件を解決するために彼の存在は必要不可欠だった。
「教えてくれよ。圭太くんは眠っていたのか?宿題をしていたのか?」
「お前ら、大事なことを忘れてる。俺にはアリバイがあるんだ。濱江と電話してたっていう、確かなアリバイがな!」
激昂したらしい矢野は、蓮の問いに答えることなく、力任せにテーブルを殴りつける。
そう。
蓮たちも、彼のアリバイを崩すことが最大の難所だった。
なにせ、通話履歴もバッチリ残っていた。
濱江の証言も嘘偽り無く、濱江は通話時、コーヒーショップにいた。
ショップの店員もアリバイの証人だった。
それでも、彼のアリバイを崩すことこそ、真実を掴む最大の道だった。
「そのアリバイなら崩れた。そもそも、圭太くんが寝てるという証言自体も、嘘だっただろ」
「根底から覆されてるじゃねえか。苦し紛れの推理なら願い下げだぜ」
「そうやって余裕なのも今のうちさ」
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