SS_No.3:お風呂掃除で濡れ透け
男の一人暮らしに風呂はない。
もちろん身体を洗っていないわけではなく、風呂掃除をするのが面倒で、シャワーだけで済ませていた、という意味である。
家族の出張で1人で暮らすようになっておよそ1年。
まともに湯船に浸かる機会はほとんどなかった。特に夏場は暑く、水風呂に入りたい気分なのに、わざわざ温めたお湯に入浴する理由もない。
ただ、秋に入り暑さも落ち着いてくると、多少なりとも恋しくはなるもの。
今は同居人もいる。しかも、見目麗しい女性だ。
本人は『別に……』と、どこぞのバス○ーソードを振り回す金髪ツンツンファンタジー主人公のように興味なさそうだが、僕としては湯船に浸かってゆっくりしてほしかった。
ので、
「お風呂掃除だー!」
と、休日。久しぶりのお風呂掃除に両腕を突き上げて、僕はやる気十分だった。
「……はぁ」
僕の隣では、影のある疲れた表情でため息を零す鎖錠さん。
その態度にはやる気を微塵も感じないが、服装は万全であった。
白のTシャツを絞ってキュッと結ぶ。
胸周りだけを包むような着こなしは、元より主張の激しかった双丘を更に際立たせる。
それに伴い露出した白いお腹は、風呂場の明かりに照らされて眩しく、小さなへそが愛らしかった。
下は黒のショートパンツ。
これまたギリギリまで太ももが露出しており、しなやかな足が健康的でとてもエロい。
汚れないための鎖錠さんお掃除スタイル。
いつもは夏だろうと肌の露出の少ない服装が多いので、こういう露出の多い格好は新鮮で、トキメキを覚える。そして、やっぱりえっち。
うーん。目の保養。眼福。
お宝鑑定士のように、うんうんと頷いて彼女の身体を吟味していると、
「邪魔」
ぺいっと浴室を追い出されてしまう。
まぁ、風呂掃除に2人も必要ないよね。わかってはいたけど。でも悲しい。
気を紛らわせようと、物置からクイック○ワイパーを取り出し、しょうがなく玄関からリビングに真っ直ぐ伸びる廊下を掃除することにした。すいー。
それから暫く。
「もう終わったかなー」
廊下の掃除も終わり、そろそろだろうとお風呂場を覗きに向かう。
浴室の扉を開けて、「終わったー?」と声をかけると、そこにはびしょ濡れの美女が居た。
「……っ」
お風呂掃除の最中にシャワーを被ってしまったのか、髪から服まで濡れ濡れだった。
髪の先から滴る水滴。
白のTシャツは身体に張り付き、もはや身体を隠すという服の体を成していない。
所謂濡れ透け状態で、下に着ていたレースで飾られた白のブラが浮き上がっている。
初めて見る黒以外のお清楚な下着。意外な色に目を丸くするも、予想以上に似合っていて網膜に焼き付く。
大きな胸とは違い肉付きの薄い太ももを、雫がつーっと足先に流れ落ちていく様は色っぽく、白い肌をなぞる光景に興奮を覚える。
ただ同時に、胸中では『やっちまった』という後悔もあって口から「あ」と反射的に声が漏れたが、もはやなにもかも手遅れであった。
水も滴る艶やかな女体に向けていた視線を上げると、一瞬、顔を赤くして歯噛みする鎖錠さんの顔が見えた気がした。だが、次の瞬間には真っ白な桶が視界に飛び込んできて、
「あいたーッ!?」
スコーンッ、と小気味好い音が風呂場内を反響した。
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【あとがき】
本編同時更新
第2話 元お隣さんと妹と一緒に夕食を囲む
https://kakuyomu.jp/works/16817330653667739518/episodes/16817330655113648042
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