いい人、と言われる度に

CHOPI

いい人、と言われる度に

 もし、今すぐに願いが叶うなら

 いい人を、やめたい



「ねぇ、あの子、いい人だよね」

 そう言われて、嬉しかったのはいつ頃までだったろう。気がついたらその言葉は、自分にはただの呪いになっていた。『いい人』の前に『都合の』がつく。いつだって、ヒトが他人を『いい人』と感じるのは『都合が』いい場合だ。


 だからといって、悪い人になりたいわけじゃない。優しい人、も言われ疲れた。自分のことをラベリングされる事に違和感しか覚えない。その言葉は、私じゃない。全部、しっくり来ない。


 何か言われる度に「ちがう」と。「そうじゃない」と叫びたくなる。私はいい人じゃないし、優しい人じゃない。もっときたなくて、ずるくて、だから、お願いだから。


 そんなに私のことを、褒めないで。私は、わたしは。



 もっと、みんなとおなじ、ひとなんです

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