第46話 暁蕾、核心を突く
「では、我が国にとって危険とはどういう意味なのです!?」
「
「知っています。亡くなった宦官の死因は、槃麻による中毒だと聞きました」
「
「
暁蕾の問いに
「おそらくな。
暁蕾には訳がわからないことばかりだ。記憶の検索を行うと無明道の情報が出てきた。火舎国で古くからある宗教だが信者の数は少ない。信者の中心は貧しい農民で健康で長生きするための生き方を教えるものだったらしい。
「我が国を追放された冥水様は、無明道の教えに感銘をうけ入信し、火舎国の全土を回りその教えを説いたと言う。少しずつ信者の数は増えていき、やがて教祖となった冥水様は火舎国の政治を動かすまでになったそうだ」
「火舎国は我が国の技術や制度を学びたいと、さかんに留学生を送ってきた。おそらくそいつらのなかに無明道の信者を紛れ込ませていたんだろう。そして
「それが冥水様の指示によるものだとお考えなのですね?」
「自分の母親を死に追いやり、兄妹もろとも国を追い出した溏帝国を、冥水様は恨んでいるだろう。復讐を企てたとしても不思議はなかろう」
「
「教えてやれ、
穏やかな声で董艶妃が命じた。
「我々宦官はそのほとんどが下賤な生まれだ。小娘、お前のことを下賤な女官と言ったがお前は全然ましな方だ。干ばつや冷害により暮らしていけなくなった田舎の村から、口べらしとして差し出された子供が人買い業者によって
「これにある貴妃が目をつけた。困窮する宦官を救う仕組みを考えたのだ。ただ表立って宦官に金品を与えることはできない。それはたとえ善意から行われた行為だとしても宦官に対する
「知っています。私たち備品係の仕事です……でもそれはつまり……?」
どす黒い雲のような不安が暁蕾を包み込む。『宦官の片棒を担いでいるのはそなたたちじゃ』初めて会った時に
「皇城へ持ち込まれた発注書は、納入業者である劉家傘下の商人へ持ち込まれる。発注書に従って商品が皇城へ発送されるが、問題はここからだ。それらの品物は本来、宦官が受け取り後宮へ搬入されなければならない、だが商品が全て搬入されることはない。一部の品物は商人がそのまま買い戻すからだ。買い戻した代金は宦官の手に渡る、後日、請求書が貴妃宮へ送られ支払いが完了というわけだ。請求書の金額に貴妃が異議を唱えない限りこの取引が表面化することはない」
貴妃宮から直接、宦官へ金品を渡すことなく備品を経由して間接的に渡す仕組み。そんな仕組みが存在する。そして暁蕾たち備品係はその仕組みの一端を担っているのだ。
「この仕組みを考案した方は……
暁蕾の絞り出すような問いに
「私と
「お前たちの前任者は、少し真面目すぎたようだ。倉庫への搬入確認をしなくていいと言われたにも関わらず数を記録し搬入された数が少ないことに気がついたのだ。そして行方不明となった。以来、備品は後宮全体の倉庫には搬入されず、宦官が貴妃宮へ直接、搬入することになった」
「行方不明!?」
自分たちの上司である
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