第44話 暁蕾、演技をする
「くそっ! このような小細工を弄するとはこしゃくな小娘めー!」
どこか棒読みの口調で
「もう白状したらどうですか? ここにある美しい香枦と
「ああ、せっかく
「
暁蕾は
明るくなった時、暁蕾は真っ先に
(お願い!
「皆さん! お聞きください!」
女官たちの視線が
「私は先ほど布の下で
「ええっ! そうだったの?」
「お優しい董艶様らしいわね」
女官たちの一部が声を上げた。かなり素直な部類の女官たちだろう。
「ですが品物はなかなか見つかりません。時間ばかりが過ぎていきました。そこで
「それで品物のことを知らないとおっしゃってたのね」
「そんなに董艶様のことを思われているのね」
「ところがです。ここで話は終わりません。さすがは董艶様です。
(さあ、ここでとどめを刺すしかないわ!)
「董艶様、皆様に真実をお伝えしてよろしいですね?」
董艶妃の口元は布で隠されているため表情は読み取れない。ただその口元は笑みをたたえていたに違いなかった。
「――好きにするがよいぞ。わらわは寛大じゃからな」
よく通る美しい声音が広間に響いた。
「皆さま、董艶様のお許しが出ました。もうお分かりでしょう。本日、
「董艶様、素敵!」
「
意外な展開についていけなくなるのでは、と暁蕾は内心ドキドキしていたのだが、一旦広がった感動に近い波は収まらなかった。これほどにも人は流されやすいのか? いや、これは自分の力ではない。卓越した演技力を持つ
「鎮まれ!」
再び董艶妃の声が響き、ピタリと喧騒がおさまる。
「これにて閉幕じゃ。速やかに解散して仕事に戻るがよい。
董艶妃の号令で侍女や女官たちは広間を片付け始めた。暁蕾は助手を務めてくれた侍女、
「
「礼にはおよびません。私はあなたのお手伝いをすることが、董艶様のためになると思ったのでお手伝いしたのです」
「何をコソコソ話しているの? 姉さん」
背後から声を掛けられ
「姉さんってまさか?」
「はい、
「やけにその女の肩を持つのね。まあ私もうまい具合に利用されちゃったけど」
「言葉を慎みなさい、
「姉さんこそ、あまり優等生ぶるのはやめた方がいいよ。それこそ敵を作るからね」
「お話中のところ申し訳ない。そこの女に用があるのでね」
突然、話に割り込んできたのは
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