第38話 暁蕾、己を恥じる
「
そう言って
「嘘でしょ。
「そうよ、あんな冴えない娘が
嫉妬とあざけりがないまぜになった言葉がいやでも聞こえてくる。気がつくと
それでも
(ダメよ! それこそが
「何のお話でしょう?
「聞きたいか? 小娘ぇーっ」
もったいぶる
「ぜひお聞かせください」
「人が殺された場合、まずいちばんに疑う必要があるのは誰だ?」
こちらの質問に対して質問で返してくるあたりめんどくさいことこの上ない。暁蕾は気持ちを落ち着かせるために深呼吸をする。
「被害者の身内、知り合いでしょう」
「無難な答えだ。つまらんつまらん」
「普通に生活していて殺されたのなら、それもあるやもしれん。だが、奴は空き家で死んだのだ。普段人気のない場所だ。いるかどうかわからない第三者を疑うよりもやることがあるであろう?」
「第一発見者を疑えとおっしゃるのですね?」
「いいことを教えてやる。お前は無意識のうちにその可能性を排除した。なぜだかわかるか?」
「お前は自分の見たいものしか見ようとしないからだ。
「俺は
今度は
だがもし、
「そんな……」
口を開きかける暁蕾に構わず
「お前が御史太夫を疑わないのはなぜか?お前のなかに、御史太夫は善であり宦官は悪であるという考えがあるからだ。もし死体を発見したのが我々、宦官であったならお前は真っ先に犯人として疑ったであろう……」
「それを
偏見、偏見……、
後宮へ送り出してくれた、父さん、母さん、学問を教えている近所の子供たち。いろいろな顔が浮かんでは消える。
「ごめんね、みんな」
「失礼いたしました。
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