第37話 暁蕾、議論に挑む
(
もう一度、目の前にいる美形の宦官に関する情報を検索してみる。一つの情報が
『
何となくこの男が送り込まれてきた理由がわかってきた。この男――菅淑は交渉の専門家なのだ。特殊な性癖はあるもののおそらくは宦官の中で、いや溏帝国で一番口がうまい男なのかもしれない。
「ご褒美をいただけますか?」
甘粛は
「
「何が望みじゃ?」
「決まっておりまする〜。
「もうよい、お前の望む通りにしてやる」
「さてと、
満面の笑顔から一瞬で無表情に戻った
そうだ、まずは質問を考えなければならない。死んだ骸骨男が宦官であったのは間違いない。ならば空家で起こった事件について
「この
「もちろん知ってるさ。お前が相場よりも安く売ってこいつは闇の市場で高く売るつもりだった。そして死んだ。お前は人助けのつもりでやったことかもしれないが、結果的に悪事に利用された。責任を感じるだろう?」
広間にざわざわとしたどよめきが拡がる。
「今、
「はっはーっ、小娘。お前は俺が死んだ宦官と仲間だったのかと聞きたいのだろう?ないな、ないない。そいつはもともと
まさに『あー言えばこう言う』で即座に言い返してくる。まことにうっとしい。もしかしたら自分も相手にこう思われているのではないか?暁蕾は少しだけ反省の気持ちを感じていた。
「この商品を買った宦官は殺されたのだと、私は考えています。
「ほう、物騒なことを言う娘だ。俺の意見を聞く前にお前がそう考える根拠を言ってみろよ」
まずひとつ目は、空き家から薬物やその痕跡が見つからなかったことだ、もし骸骨男が自分で所有している薬物を飲んで死んだのなら残りの薬物やその入れ物が見つかるはずだ。そしてもうひとつは男が持っていたはずのふたつの品物が無くなっていたことだ。現場には慈善販売会の籠だけが残されていた。
薬物も品物も誰かが持ち去った可能性が高い。骸骨男以外の誰かがあの空き家にいたのだ。そしてその誰かが骸骨男に薬物を飲ませて殺したのではないか。
「ある方から得た情報によると、宦官の死因は薬物中毒とのことです。そして現場からその薬物や入れ物は見つからなかったのです。また今ここにあるふたつの品物も現場からなくなっていました。宦官に薬物を飲ませて殺害した人物が持ち去ったと考えるのが自然ではないでしょうか?」
「おいおい、お前何者だー。ははーん。
(あいつの女ですって!)
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