第34話 暁蕾、呼び出しを受ける
指導係の
おそらくそちらも
とても後宮で必要とは思えない弓と矢、それに火薬の原料、それらが記載された危ない発注書を
数日後、発注書を取りに行った
「大変、
そう言って
『下級女官 暁蕾。◯月◯日◯の刻、
紙に記された文章は簡潔でとても情報が少ない。それでも
「今度は何だろう?」
「品物が全然届かないから
もともと気になっていたことなので暁蕾にとってはついにきたか、という感じではあった。
「でも暁蕾は発注書をちゃんと皇城に届けた。後のことは暁蕾の責任じゃない」
「まあ、まだ叱られるって決まった訳じゃないし、もしそうだとしてもちゃんと説明すれば分かってもらえるよ」
そう
約束の日時はすぐにやって来た。暁蕾は北宮の渡り廊下を進み、
扉が開いて、見覚えのある侍女が顔を出した。細く鋭い目が暁蕾に注がれた。相変わらず飾り気のない顔だと暁蕾は思った。
「お待ちしておりました。お入り下さい」
暁蕾に名乗る時間を与えず侍女は言った。事情は把握しているので早くついて来いということだろう。
――
まず一番にそう思った。前回来た時は、嗅いだことがない刺激的な香りがしていたが、今回は違う。香りの記憶として骸骨男の異様な死に様が頭に浮かぶ。まさか、ここ
応接間では、
「突然、呼び出して悪かったのお」
「いえ、滅相もないことです」
「お前が
(いったい、何が始まるの?)
董艶妃の見せたいものとは何だろうと考えるが、全く想像がつかない。なんだかロクでもないことが起こる予感しかしない。改めて
「
『かんしゅく』とは誰だ? 暁蕾は自分の脳内にある膨大な情報に検索をかけた。即座に『かんしゅく』という名を持つ人物の情報が弾き出された。
該当する5名のうち、3人は平民で無関係だろう。のこりふたりのうちひとりは、尚書省の役人でもうひとりは――
――宦官だ!
それもかなり高位の宦官だった。胸の奥でザワザワと動揺がひろがるのがわかった。
(いったいどっちなの?)
役人の方であって欲しいと願いながら広間の入り口に目を凝らしていると、すぅーっと滑るようにひとりの男が入って来た。
その男を一目見て暁蕾は絶望的な気持ちになった。「
ところがだ。次の瞬間、暁蕾は意外なものを見た。その宦官の顔はとても美しかったのである。
「ああーっ、
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