第33話 暁蕾、上奏文を受け取る
「皇城の清掃係、
「違います!誰ですか
「お前と
ここまで話したのだ、出会いくらいは説明してもいいだろう。そう思った
「俺は
「お会いされたことはあるのですか?」
「ねーよ。こんな下っ端役人が会えるわけねーだろ」
ふと暁蕾は、
「いいことを思い付きました。
「何だと?」
「ほら、私が御史大夫様へ持って行ってあげますよ。皇帝陛下へ直接は無理でも、もしかしたら御史大夫様が皇帝陛下へ届けてくださるかもしれないじゃないですか?」
「バカを言え。皇帝陛下へ直接申し
「我が国の民をお救いになりたいのではなかったのですか?」
「……何の話だ?」
「溏帝国の……この国の民は苦しんでいます。重い税金、度重なる自然災害、北方からの異民族の侵入と略奪。貧しいものは日々の暮らしに精一杯で、学問を学ぶ機会もありません。富めるものと貧しいものの差は開く一方なのです」
「そんなことはお前に言われなくてもわかっている」
「そうでしょうね。そのことを何度も何度も上奏文に書かれているのですから」
「お前……いつの間に読んだ?」
正確には
「
「どうかお力をお貸しください」
目の前に両の拳を突き出してひざまずく
「あーあー、全くお前ってやつはどうしてこう面倒なことを押し付けてくるんだろうな」
そう言いながら
『
「ほら、持っていけ」
「ありがとうございます。必ず届けますね」
礼を言って部屋を出ていこうとする暁蕾を
「いいか、好奇心があることはいいことだが余り危ぶねーことに首を突っ込むんじゃねーぞ」
「心配してくださるのですか?」
「俺にはお前ぐらいの娘がいてな。俺に愛想をつかした女房と一緒に家を出て行っちまったんだよ」
「娘さんが私に似てたりして」
「バカを言うな! あいつは口ごたえなんぞせん。素直ないい子なんだよ」
「そうですか。それは失礼しました」
娘のことを思い出しているのだろう、
「お前と娘は全然違う。全然違うのに、お前を見るたびに娘を思い出すんだよ……だから無茶はするな」
そう言って、
(
もしかして、自分を仮の妹だと言う
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