第26話 暁蕾、魚符を眺める
「不用品を売った売上金で食料を買い、災害の被害にあっている州に送りたいのです」
「なるほど、
「すごいじゃん。俺は優秀な妹を持って鼻が高いよー、なあ
「そ、そうだな」
自ら提案した兄妹設定に照れているのか、
「それで、お願いというのは何だ? 慈善販売会のための場所や人員の確保とか許可とかそういうことか?」
「いいえ、それらは他の方にお願いしております」
「
「
「ちょっと待て、お前は、我が国に侵入して略奪をはたらいている
「その通りです。ただし無償で助けるわけではありません。交換条件として我が国との和平交渉に応じるように伝えるのです」
「ううむ……しかし、あの交戦的な
もし、家畜の餌を援助するともちかけてなお交渉を断られることがあれば、溏帝国の
「難しいのはわかっています。そんな弱腰な態度を見せるのは良くないとお考えなのですよね。であれば援助はあくまで劉家からということにしてはいかがですか?
「わかったぞ、我が妹よ!」
「
(げっ、この人するどいんだけど)
「そうなのか?」
「まあ、そんなとこです」
「
「おっ! やる気になった?」
「ああ、なったさ」
「正直に言うと
「私もそう思います、
「いいよー。兄妹で国を救う。泣けるねー」
「おい、お前も協力するんだ!」
「えっ! 俺も?」
「可愛い妹のためだぞ。嫌とは言わせないからな」
「わかったよー、仕方ないなー」
「暁蕾、この話は翠蘭様にも伝わっているのか?」
「はい、翠蘭様が信頼している侍女を通じてお話をし、承知して下さったとの事でした」
「ならばよい。家畜の餌の調達と
「承知しました」
「暁蕾ちゃん、忘れ物だよ」
何事かと暁蕾が振り返ると、
「
「しっかり持っておけ」
大切なもの、と
(いつか教えてくれるのかな?)
後宮への帰り道、ふと立ち止まって
『生きよ』
そこにはそう書かれていた。
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