第24話 暁蕾、計画を立てる
「そのお金を人のために使うんです!」
「ええ、
「昨年、北部の州で大寒波、南部の州では大雨による洪水が立て続けに起こりました。どちらの州でも食料が不足していると聞いてます。今回の売上金で食料を買って被災地に送るんです」
「翠蘭様の大切な品物を売ったお金をそんなことに使うっていうの? そんなことは皇城の役人が考えることじゃないのかしら?」
「
暁蕾が発したなんの脈絡もない質問に
「知ってるわ。北方の野蛮な国でしょ。劉家の商隊もやつらに襲われて商品を奪われてるんだから。でもそれがどうしたって言うのよ?」
「大寒波で被害を受けているのは、我が国だけではないのです。遊牧の民である
『劉家への災い』という言葉を聞いて、見る間に
暁蕾は、もう一つの切り札を切ることにした。
「後宮の女官たちの間に、よからぬ噂が広がっています。劉家による他国への武器売買に関する噂です」
「根も葉もない
「噂をご存知なのですか?」
「知ってるも何もその噂のせいで本当に迷惑してるんだから!他の貴妃からは白い目で見られちゃうし、皇太后様からも苦言を
「噂は真実ではないのですね?」
「ちょっと、あんた。まさかその噂信じてる訳じゃないでしょうね。もしそうだったら今すぐこの
(
「
「なんですって!」
目を丸くする
「本当に上手くいくの?」
信じられないという表情の
翌日から暁蕾と
暁蕾は、まず
「
暁蕾が部屋をのぞくと
(居眠り?)
そう思ってもう一度声をかけようとした時、
「遅かったな、
「申し訳ありません、
「いろいろとはなんだ? いろいろとは? それに寝てはおらんぞ。考え事をしていただけだ」
「そうですか。失礼しましたー」
暁蕾はわざと棒読みで答えた。
「今まで分かったことをご報告しますね」
暁蕾は、書庫である
「つまり武器横流し先として一番怪しいのは、
「我が国にたびたび侵入して略奪を行っている点や、寒波で家畜の餌がなくなって困っているという点で武器を必要としているとは思いますが、証拠は何もありません」
「俺も昔のツテを使って調べてるんだが今のところ何もわからん。すまんな」
「あの発注書はどうされたんですか?」
「ああ、あれならいつも通り処理して商品の調達係へ提出したよ」
「ええっ! あれ出しちゃったんですか?」
「仕方ねーだろ、
「絶対、問題になりますよ。大丈夫なんですか?」
「さあな、わからん。でもな、
「それはそうなんですが、なんか嫌な予感がするなー」
「心配するな、ダメならダメと返事が返ってくるだろうよ。その時は変わり者の貴妃のお
そう言って
「なんか、やけっぱちになられてませんか?」
「まあ、俺はもうこれ以上堕ちるとこがないってとこまで堕ちちゃってるからな、怖いものなしだぜ、ガハハハハ」
暁蕾が生ぬるい視線を向けているのに気がつき
「あっ、そうだ。私、
思い出したように付け加えられた暁蕾の言葉に、今度は
「何だと! どういうことだ?」
「しかし、よく採用されたなー、お前が」
そう言って
「あっ! 今、私のこと変な目で見ましたね。もういいです。帰ります」
「か、勘違いするな。見てない見てないぞ!」
出て行こうとする暁蕾を
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