第23話 暁蕾、提案を行う
回廊の角を曲がって姿を現したのは、やはり
「おはよう! 暁蕾」
「おはよう!
「はい、蝋燭。持ってないんでしょ」
どうやら気を利かせて持ってきてくれたようだ。
「ありがとう」
「それでねー。しばらく仕事を手伝ってもいいって言われたの」
「えっ!」
「あっ、こら!」
あわてて暁蕾も後を追った。
「わー、結構片付いてるー! 暁蕾、ひとりで頑張ったね」
「ええ、まあね……じゃなくて!」
思わずノリツッコミのようになってしまった。
「ねえ、暁蕾。片付けるだけじゃなくて目録もつくらないといけないんでしょ。ふたりでやった方が合理的だよ」
合理的か……
それに一緒に作業すれば、
「わかった、ありがとう」
暁蕾が折れたのをみて、
ふたりで作業を始めると、その奔放な印象とは違って
(もしかして凄く有能なのかも)
途中から仕分けは
目録を作ってわかったのは、この倉庫にあるのはそのほとんどが新しい物と交換して使わなくなった品物だろうということだった。少し前に都で流行した
「ねえ、
「うーん」
「翠蘭様のご実家、劉家はね。とっても厳しい教育をしてるんだって。とにかく物を大事にするようにって教えられるらしいの。でもね後宮での競争に勝ち抜くには流行にも敏感でないといけないでしょ。だから最新のものに入れ換えたんだけど」
「えっ! それでここにあるものも捨てられないってこと?」
「ほんとはね、捨てないとどんどん物は増えちゃうし散らかっちゃうからって、侍女たちも翠蘭様を説得したんだけど、もしかしたらまだ使えるかもしれないからって、聞き入れて下さらないの」
完璧美人だと思われた翠蘭妃にも、意外な一面のあるものだと暁蕾は思った。だがこれでは大切にしていると言うよりはただ捨てられないだけではないか。
それから数日の間、
「ねえ、
「えっ、何? 教えて」
「安慶の市内で慈善販売会を開催するの。ちょうど目録も出来たんだし後宮では流行遅れでも庶民にとってはとても手がでない高級品なわけだから値段を安く設定すれば売れると思うわ。それでその売上金で食料を買って、大寒波と洪水で食糧不足に陥っている地方に送るのはどうかしら?」
「驚いた。あんたすごいこと思いつくのね。でもいいよ。とってもいいと思う」
「ありがとう。もし良かったら
「わかった、話してみる。
翌日、
「
相変わらず八の字の眉は不機嫌そうに吊り上がっている。
「
「
「皇帝陛下が発せられた宮城倹約令ですよ。陛下は無駄をお嫌いになるお方です。倉庫に使わない品が眠っているのは良く思われないでしょう。ですがその品々が安慶の民によって再利用されればきっと
「でも、庶民から金を取るんでしょ。不用品を庶民に売りつけて金儲けをする貴妃だと思われたらどうするのよ!」
口を尖らせて暁蕾に詰め寄る
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます