第21話 暁蕾、お腹を空かせる
侍女は
(えっ?ここで待てってこと?)
それきり部屋には誰も入ってこない。何の説明もなく途方に暮れる暁蕾だったが椅子に座って待つことにした。部屋の外からは相変わらず人が行き交う音がしている。まだ女官の選考は続いているのだろう。残りの二人が不合格を言い渡された一方、暁蕾が残されたことからおそらく自分は合格したのだろうと暁蕾は思った。
ただ名前と簡単な自己紹介をしただけで
(そう言えばお腹空いたな)
ガチャリと部屋の扉が開いて誰かが入って来た。慌てて扉の方を向くとこちらに向かってくる侍女、
「ああ、まったく運の強い女ね」
「私が選ばれたのですか?」
「この部屋にいる合格者を連れてくるように言われたわ。他に誰かいるの?」
「いえ、私だけです」
「ならさっさとついて来て」
吐き捨てるように言う
途中、女官たちがいる部屋に立ち寄り火のついた
よく見ると建物の床が柱で地面から持ち上がっている。どうやら目の前にある建物は倉庫のようだ。
「着いたわ。ここがあなたの仕事場よ」
(雑用って言ってたから、炊事とか洗濯と思ってたけど違うのね)
倉庫の入り口は錠前で鍵がかかっているようで、
暁蕾は、
暁蕾は薄暗い前方を蝋燭の明かりで照らしてみる。倉庫の中は物であふれていた。木製の箱や陶器類が床にそのまま置かれている。同じく木製の棚には大量の書類の束や
「ここで仕事をするのですか?」
燭台を壁の留め具に引っ掛けながら暁蕾が聞くと、
「少し違うわね。ここを片付けるのが仕事なの。
なるほどと暁蕾は納得した。
「お言葉ですが、これをひとりでやるのですか?」
「おや?あんた、私に言ったわよね? 皇帝陛下が倹約令を出されたって。仕事は重要なものに人手をさかなければいけないの。倉庫の整理に人手をさくのは無駄だと思わない?」
もしかしたら、暁蕾が選ばれたのは
「じゃあ、後は任せたわね」
黙っている暁蕾を見て、仕返しに成功したと思ったのか
(困ったわね。この仕事は噂の検証に向いてないわ)
噂は人の口を介して拡がるものだ。
(それにしてもお腹減ったなー)
昼食抜きで仕事に取り掛からないといけないのだろうか? さっき蝋燭をもらった部屋に行って何か食べ物をもらってこようか? などと考えていると廊下をこちらに向かって歩いてくるパタパタとした足音が聞こえてきた。
足音が聞こえてくる方を見ると、小柄な可愛らしい女官が回廊のかどを曲がって来るところだった。
女官は、暁蕾の前まで来ると手に持った袋を差し出した。
「昼食の
「ありがとう。お腹ペコペコだったの。今日からこちらで働くことになった
女官はクリクリとした目で興味深そうに暁蕾を見つめている。
「
「この倉庫の扉が開いているところ初めて見たかもー」
「初めて?」
「うん、初めてだよ。とは言っても私は
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