第20話 暁蕾、紅玉宮へ行く
暁蕾が
『この度、
紙に書かれた文章は簡潔で余計なことは何も書かれていなかった。
(
「
「頑張ってね!
暁蕾は
いつも通りツンケンした女官が行き交う北宮の回廊を通り、
――
上品な朱色で
半刻(1時間)ほど並んでいると、行列は進み
行列の先頭は大広間へ続く朱色の扉で止まっていた。眺めていると扉が開き「次の3名入りなさい」と女性の声が聞こえた。緊張した面持ちで女官が広間へと入って行く。それほど時をおかずに次の3名が呼ばれる。
(思ったよりも短い時間で選ばれているのかしら? まあこんなにいるんじゃ仕方ないか?)
列はどんどん進み
暁蕾は思わず息を呑んだ。きらきらと光を反射する透けるような素材の白い
それだけではない、大きな切れ長の目からのぞく濃い茶色の瞳。鼻筋の通った小さな鼻。赤く可愛らしい唇。それらを引き立たせるように描かれた上品な
――完璧だ。
それ以外に目の前にいる女性を言い表す言葉が思い浮かばなかった。
暁蕾と残りの女官は女性の前にひざまづき拱手の礼をとる。
「本日は
やはりそうか、と
侍女、
暁蕾と残り2人の女官は急いで立ち上がり自己紹介を始める。
「劉家へ
緊張した
「次のもの」
「
ひとり目が
「次のもの」
「後宮の備品係、
暁蕾は、実家の情報は伝えずに現在の職務だけを簡潔に述べることにした。
(えっ! 失敗したかも)
「全員、退出しなさい」
入ってきたのとは違う扉が開かれたのでそこから出ていくのだろう。困惑の表情を浮かべながら隣の女官たちが出口へ向かう。
扉をくぐる女官に出口を開いた侍女が「不採用でございます」と声をかけるのが聞こえた。目の前を歩くふたりの女官が青い顔をして広間を出ていくのを絶望的な気分で見送りながら暁蕾も出口へ差し掛かる。
バタン!
突然、暁蕾の目の前で扉が閉じられた。
「あなたはあちらの出口へどうぞ」
そう言って侍女は奥にあるもう一つの出口を指し示した。言われた通りに出口へ進むとそこは机と椅子があるだけの殺風景な部屋だった。
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