第14話 暁蕾、書庫へ行く
結局、最後の質問には答えてもらえず、
「その話父さんから聞いたことがある。安慶から
「えーっ! そうなの? ねえ、その兵士が横流ししていた国ってどこなの?」
「それは口外できない秘密だから、父さんも教えてもらってないと言ってた。ごめん……」
「そうかあ。よほどまずい秘密なのね」
暁蕾は、父さんから見せてもらった溏帝国の公文書をまるまる暗記している。そしてその膨大な記憶を必要に応じて呼び出すことが出来る特殊能力を持っていた。
驚くことに武器横流し事件で兵士が捕えれらたことは文書に書かれているのだが、肝心な兵士の所属と兵士が横流ししていた国の名前は、全て墨で真っ黒に塗り潰されて読めなかったのである。
溏帝国は大陸の東方で海岸線に沿って東西南北に広がる半円のような広大な領土を持つ、だが西方の領土は交易路に沿って細長く伸びており太い尻尾のように見える。そしてその尻尾の先端は、
さらに西方に伸びた細長い領土は、北を遊牧民の国である
(横流し先の候補は、
「あ、そう言えばさっき
もし
さて、
「
「うん、もちろんやる!」
暁蕾の言葉を聞いて
暁蕾は、廊下にある発注書箱を確認した、今日は早めに処理したので、新しい発注書は入っていなかった。
(これなら明日、書庫に行けそうね)
その日の夜、暁蕾は布団の中でその日あったことを思い返していた。
安慶の都には、
それなのに
――美しい
確かにその時、
もうひとつ暁蕾が美しいと感じたものがある。それは
(もーなんなの!)
慌てて頭から振り払おうとするが、考えないようにすればするほど考えてしまう。暁蕾はフーッと深いため息をついた。
(きっと色々なことがあって疲れてるからね。明日も頑張ろう)
暁蕾は心の中でそうつぶやくのだった。
翌朝、
皇城の書庫は幸い、いつも通っている
一般的に公開されている情報が載っている書物や文書が保管されている場所である。
門の左右には獅子の彫像が置いてあり、訪れるものを威嚇するように口を開けている。門の内側に衛兵の詰め所があり若い兵士が退屈そうに立っていた。
「へー、
という兵士に
兵士が「どうぞ」と通してくれたので、
(こんなにいっぱいの文字が読めるなんて、なんかゾクゾクする)
本を読むことが大好きな暁蕾にとってこの
まずは、
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