2023/8/11 「ブラフマンの埋葬」
陽気な音楽が掛かっている喫茶店で夫と昼食をとる。コーヒーを飲みながら、小川洋子「ブラフマンの埋葬」をはじめて読む。
喫茶店の陽気な音楽が小川洋子の静謐な文体に似合わず、バッハ「平均律クラヴィーア」の曲集を大音量でかけ、イヤホンで耳栓をする。音楽の美しさのみ突き詰めた音の粒が、読書時間を彩ってくれる。
「ブラフマンの埋葬」は、特に難しいことばは使っていないし、敢えて閉じられた言葉(
1時間もかからずに読み終わってしまった作品であったのだけれど、全体が苦しいくらいに「生活」の音と匂いに満ち満ちている。「僕」が語らずとも一番大事なことは伝わっていて、泣き出しそうになる自分だけがそこに残っている。こういう話を書きたい。
実は本当に「何を書くべきか」で迷子になってしまっており、最近はずっと「どこを向いたらいいか、あるいはどちらに舵を取ればいいか」みたいな、極めて原始的な悩みの前に途方に暮れていた。自分が将来何になりたいかをこの年齢になってもずっとやり続けていて、全くもってばかばかしい、と思いつつこれを書いている。
どちらもやればいいと言って下さった方がいた。どちらもできたらいい。本当は。
混ぜきれなかったアイスコーヒーの底のガムシロップが甘い。
胃薬日記 紫陽_凛 @syw_rin
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