第123話 魔素分解講座①
ふう、慣れない言葉遣いは疲れるな。魔素分解の説明をしてから掲示板を時々眺めてたら、魔素分解を持っているっていう人の書き込みがあったから、思わずコメントしてしまった。
回りのヤツらは本人だと思ってなかったみたいだけど、肝心の魔素分解持ちさんが信じてくれてるみたいだったから、話を進められてよかった。
結局、二人目の魔素分解持ちも現れて、それならみんな集めていっぺんに説明した方がいいと思ったから、配信で告知して魔素分解持ちを集めることにした。
告知をした次の日、もうすでに10人が申し込んでくれていた。一応、協会から証明書を添えてDMを送ってもらってるんだけど、最終的には鑑定で確かめることになりそうだ。
嘘の報告だったら追い返してやる!
とりあえず、開催日時は2週間後と告知している。旅費が必要な人には領収証を持ってきてもらうことになってるけど、魔素分解持ちさんだけはこっちで全て手配してあげた。
一応、出世払いということにしてるけど、別に回収できなくても問題ない。お金は……怖くて見てないけどヤバいくらいに貯まってるからね。
さて、この先はしばらく忙しくなりそうだ。まずは明日香のレベル上げを最優先に行う。半年後に再び北海道解放作戦が再開されるらしい。それまでにできるだけレベルを上げておかねばならない。
できれば酒呑童子と一対一で戦えるくらいにしてあげたいが、段々とレベルが上がりづらくなってきているから、果たして半年でどこまであげれるかわからない。その頃には楓ちゃんとますます差がついちゃってるだろうから、もう一緒にいれないかもしれないな……
それから推し活のランク上げも付き合ってやらないと。なにせ、海斗は次の北海道解放作戦に参加したいみたいだからな。できれば4級まで上げたいそうだ。普通に考えたら、6級の俺達が半年で4級に上がるのは難しいだろう。そんなに簡単にランクが上がるなら、みんな苦労していない。
だがしかし、俺が本気で協力すれば話は別だ。バレない程度に協力して半年で四つランクを上げさせてやる。最近、監視の目が厳しくなってきてるけど何とかなるだろう。
それから、魔素分解講座だ。2週間後に開催するけど、その準備も当然だがアフターケアもしっかりしてやらないとね。おそらく、魔素分解持ちは色々なところから引っ張りだこになるだろう。場合によっては、拉致監禁してでも連れて行きたいと思うヤツらもいるかもしれない。
だから、セキュリティがしっかりしているところに就職できるように口をきいてやらねばならない。というか、俺が新しく
また九条さんに、そのあたりの情報に詳しい人を紹介してもらって運営を任せたい。資金提供はできるから、お金だけ出して後は丸投げできる人材を確保できればいいな。
そこでお金を稼いでもらってある程度資金が貯まったら、独立してもらってもいいし、大手企業に就職してもらってもいいし、とにかく安全が確保できるまでは俺が守ってやりたい。
それから明日、善福の総支配人と会う約束をした。会場の下見と細かなスケジュールの打ち合わせをする予定だ。そのついでに、懐石料理を食べさせてくれるらしい。
正直、貧乏料理から一気に魔物料理に飛んでしまったから、普通の素材で作られた高級料理には興味がある。
その為に、お面を新調した。顔の上半分を覆うタイプで、食事の時も困らない形をしている。料理配信の時に使おうと思って注文しておいてよかった。何となくオペラ好きの怪人と似てるけど……
そうだ。魔素分解講座も参加者がオッケーしてくれたら、配信しようかな。他にも魔素分解持ちがいるかもしれないし、別に魔素分解がなくても、魔素を感じれたら魔法の使い勝手もよくなるはずだから。
まあ、やることは決まったから後はしっかり準備をするか。
▽▽▽
あれから2週間が経った。今日は魔素分解講座を行う日だ。非常に忙しい毎日だったけど、できるだけの準備は済ませたつもりだ。開始はお昼からだけど、準備があるからそろそろ善福に向かうとするか。あっ、ちなみに善福の料理はめっちゃおいしかった。もちろん魔物料理には敵わないけど。
明日香は楓ちゃんとレベル上げだし、推し活は休養日だから問題ない。今日使う素材もアイテムボックスに入ってるし、行くとするか。
俺は姿を消し、善福の真上へと転移した。
「おはようございます。本日、お部屋をお借りする魔物料理屋です」
インターホンを鳴らし、用件を伝える。すると、扉の奥が慌ただしくなりすぐに支配人が姿を現した。ずいぶん早いな、おい。
「これはこれは、ようこそお越しいただきました。おそらく今日は、料理界の歴史が変わる日でしょう。我々はこの日を心待ちにしておりました。本日は貸し切りにしておりますし、警備も依頼していますので安心してご利用ください」
支配人自らお出迎えか。随分、VIP扱いだこと。そんなにかしこまらなくていいのに。でも、貸し切り警備付きはありがたい。俺にとってというより、参加者にとってだけど。
今日使う部屋と厨房のセッティングを指示して、最終打ち合わせを行う。部屋は魔素分解のために、バフをかけたり体内の魔素を強制的に動かす予定なので、背もたれ付きの椅子を用意してもらってる。
厨房には参加者分の魔物の素材がおけるスペースが用意されている。それに、上手くいけばここの料理人さん達がその素材を使って料理を作りたいそうだ。もちろんオッケーしてるので、彼らは顔を赤くしてその時を待っている。
セッティングと打ち合わせが済んだ頃に、参加者が続々と到着し始めた。結局、今回の参加者は15名になった。思ったよりたくさんいたな魔素分解持ち。
最初は待機室に通してもらって、鑑定でスキルを持っているか確認する。よかった。全員魔素分解持ちだった。
彼らも随分と興奮しているようで、初対面のはずなのにもう話が盛り上がっている。スキルはあるけど、使い道がなかったことで結局日の目を見ることがなかった人がほとんどみたいだ。これを機に一山当てたいとか、バカにしたヤツらを見返してやりたいと息を荒くしている。
男女の割合は半々くらいで、年齢は30代から50代くらいに収まっている。さて、みんな揃ったみたいだし、早速開始するとしますか。
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配信したのは妹で俺は妹のチートマネージャー ももぱぱ @momo-papa
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