二章/公式イベント『ポリノシス・クライシス!』
第21話 初見リスナー向け自己紹介
・北!
・愛華ちゃん!
・土下座切り抜きから来ました
・初見です
・ばんわー
・愛華ちゃんこんばんは
・話題のヘビを見に
・今日も新情報を待ってます@検証班
・はじまたー
「うわ、うわわっ!? 今日すっごい数の人が見てますね!?」
昨日の今日だから、注目されているとは思っていたけど、まさか待機時点で三百人もいるなんて! えっ、青梅効果すごい……。
ひるんで段取りが飛びそうになったけど、深呼吸でなんとか持ち直す。まずは初見さん向けの、自己紹介からだ。
「失礼しました。今日は初見の方がとても、とっても多いので、まずは自己紹介から始めます。……私は極楽鳥花愛華。極楽浄土の『極楽』に、花鳥風月の『鳥』と『花』。そして愛情の『愛』、華道の『華』で、ごくらくちょうかあいか、です。……豆知識として、極楽鳥花って花は、実在します。学名では『ストレリチア』とも。……某
・インパクトあるけど覚えやすい。いい名前
・大学生設定なんだ
・vにしては中途半端な歳だな
・そういやそんな設定だったっけ
・へー
「あはは。あんまり興味なさそうな反応ですねー。ま、私のプロフィールなんて、忘れてもいいですよ。普段はゲーム実況をしている、同期も仲のいいライバーさんもいない、個人勢のエリートぼっちだってことさえ覚えていれば、OKです」
・エリートぼっち:とは
・自称しちゃうんだ
・ええ?
・このどうツッコめばいいかわからないマイペース感が愛華ちゃんだぞにわか共
パーソナルデータ紹介は、こんなものかな。今日集まっている人たちは、冒証の未確認情報目当ての人ばっかりだろうし、これ以上の掘り下げは止めておこう。
極楽鳥花愛華について、もっと知りたい人は、チャンネル登録とフォローをしてくださいね。(宣伝)
「さて、次は冒証のキャラクターとしての、私のデータをお見せしますね。見ての通り、私はVライバーのアバターデータを持ち込んだ、Vコンバートシステム適応型の配信者です。冒証公式サイトにも名前が載っている、正規認可済みライバーなので、私がチート行為を行うことはありません。ていうか、変なアプリを使った瞬間、冒証運営に垢BAN&罰金という名の制裁を喰らう身です」
・なるほどなぁ
・後ろのヘビもチートでゲットしたわけじゃないと
・あれってそういう証明にも使えるのか!
・ヘビと馬がうろついてるせいで話に集中できない
「あああ! 黒檀丸、青梅はちょっと画角から出て! あなたたちはメインでお楽しみ要素だから! って、両方大きすぎて絶対見切れちゃう!?」
しまった! 町の広場でスタートしたから、黒檀丸と青梅出しっぱなし!
なんか超遠巻きに見られているなー? とは思っていたけど、これ絶対にうちの子が目立っているやつだ!
「えっと、えっと! み、見ての通りテイマーでプレイしています! ミュート設定のソロなので、リスナーさんとゲーム内交流することはありませんが、私が入手した称号やクエストの情報は、自由に活用してくださって構いませんので!」
・めっちゃ焦ってて草
・助かります!
・ありがとう
・検証班の女神
・配信妨害○野郎が消えた理由
・Thx!
・ミュートVの開祖だったのか!
・涙涙の恩人さん!
・あなたが神か…@検証班
・おかげで推しがのびのびゲームできてます
・その節はどうもありがとうございました。
あれ? なんかやたらと感謝のコメントが多い?
流れるコメントが速すぎて、ぜんぜん追えない……。今まで、数分に二~三個コメントが来ればいい方だったから、全く目が慣れないんだよね。
あ、でもなんか他のライバーさんの名前が、ちらほら見えた。そこは注意しておこう。余計なトラブルの元だし、お互いの印象が悪くなるからね。基本、
「私のステータスも、ゲーム開始時からけっこう変わっているので、せっかくなので公開しますね。……あっ、ちょっと待ってください。……よし、どうぞ! スクショもいいですよー」
“二つ名持ちに認められし者”
種族:ヒューマンLV9 職業:
ステータス
体力12 筋力13 走力11 器用16 知力13 精神13
HP50 MP46
職業スキル
使役LV9 命名LV4 識別LV5 騎乗LV4 気配察知LV7 料理LV2 採取LV8
個人スキル
鑑定LV7 杖術LV5 基礎魔法LV5 土魔法LV3 短剣LV4 錬金術LV3
装備
野ネズミの長袖シャツ、野犬のジャケット、野ネズミのカーゴパンツ、冒険者の靴、雑木の杖、くず鉄のナイフ
称号タイトル:はじまりの町の冒険者 ユニークテイマー 二つ名持ちに認められし者(セット中)
使役モンスター(2/3)
黒檀丸(駄馬/LV7)、青梅(ノーブルスネーク/LV20)
・二つ名持ちに認められし者kwsk
「分かりました。ついでにユニークテイマーも見せますね。……ちょっと、覚悟して見てください」
ユニークモンスターを使役する、テイマーの証
この称号を持つ者は、テイマーに関するNPCへの好感度ボーナス(微)を得る。
称号を持つユニークモンスターを使役する、優れたテイマーの証
二つ名を冠する存在は数少なく、だからこそ惹かれ合う運命にある。倒すか、使役するか。それはあなたの技量次第。
この称号を持つ者は、テイマーに関するNPCへの好感度ボーナス(中)を得る。
この称号を持つ者は、ユニークモンスターの出現率増加(微)、テイム成功率上昇(小)を得る。
この称号を持つ者は、二つ名持ちユニークモンスターへの与ダメージプラス(微)、テイム成功率上昇(微)、二つ名持ちユニークモンスターからの被ダメージマイナス(微)を得る。
・はい
・ええええええええ
・ぶっ壊れだろこんなの
・誰が実装okしたんだ
・ふぁーwww
・やっぱ蛇ちゃん以外にも称号持ちいるのね
・なんも言えねえ
・信じられるか?チートじゃないんだぜ
・公式ィ!!
・※確率補正なので、ヘビの幸運バフが乗ります
・あっ(察し
・はー・・・
「そうなりますよねー……」
ユニークテイマーはいいんだよ。過去作でもあったやつだし。でも二つ名持ちに認められし者、これはダメだ。上位互換なんて生易しいものじゃない。完全なぶっ壊れ。
たぶんだけど、運営はこの『二つ名持ち』なるモンスターが発見・テイムされるのは、もっと後のことだと、想定していたんだと思う。でもなんでか私が、こんな序盤で青梅をテイムしたせいで、余計な騒ぎになった、と……。
「はいっ! どうせ雑魚の私が持っていても、使いこなせない称号でした! この話は終わりで、次は私の頼りになる仲間を紹介します。黒檀丸、おいでー。青梅はもうちょっとまっててね」
考察やら怪文書やらが高速で飛び交う、コメント欄から目をそらし、くつろいでいた相棒を呼び寄せる。
早く青梅を見せろ、ってコメントは悪いけどスルー。こういうのは、やっぱり最初のテイムモンスターからやらないと、不公平だと思うの。
種族:駄馬 LV7
ステータス
体力22 筋力16 走力22 器用8 知力6 精神6
HP76 MP24
スキル
騎獣 運搬 持久走 体当たり ダッシュ 踏みつけ
好物:キャロット、野菜類
装備
革の鞍、くず鉄の
「移動・アタッカー・壁役に、クエストの荷物運びもこなせる優秀な子です。最初はびっくりしましたけど、今はこの子なしの冒証は考えられません」
・馬は白の平野で出現する
・チュートリアルで出るのは稀
・UMA便利だよUMA
・今作のテイマーは、カラスと馬を早めにそろえるのがトレンド
へぇ。ぼっちプレイしかしてなかったから、他のテイマーたちがどんな子を手に入れているのかは、よく知らなかった。確かに飛行戦力と機動力は、重要だからね。
でも私は、カラスは絶対にテイムしない。
「もっと
・きた!
・待ってました
・本命
・注意喚起してくれる愛華ちゃんは優しいなぁ
・超美人さん・・・!
・ほしい
ふっふっふ。昨日のインパクトある登場もあって、コメントの盛り上がりがすごい。
それじゃあ、もうデータは出回っているけど、おさらいも兼ねてステータス公開するよ。
“緑雨上がりの蛇姫”
種族:ノーブルスネーク/ユニーク LV20
ステータス
体力30 筋力27 走力30 器用19 知力28 精神24
HP114 MP104
スキル
幸運 半水生 熱感知 毒耐性 噛みつき 締めつけ 毒 麻痺 水魔法 木魔法 浄化 醸造
好物:スネークベリー、酒類
装備
なし
・TUEEEEEEEE
・いつ見てもとんでもないステ&スキル構成
・馬と比べると良く分かるやばさ
・なんやこのチート
・×器用貧乏○万能
・序盤でこの数値のテイムモンスはバグ
・うおおおおおお
・幸運いいなぁ
・醸造どうやるんだ
「盛り上がってますねー。見ての通り、この子はマルチで活躍できそうなんですけど、昨日はアラートが鳴って、検証が不十分でした。なので、今日は青梅がどれだけ強いのか、試してみたいと思います。いざ、青の深林へ!」
黒檀丸には悪いけど、ヘビの青梅の力を見るには、森林フィールドが一番だからね。
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