第4話 はじまりの町

「お待たせしました。ここが私のスタート地点、『セキナンの町』です」


・お

・グラフィックきれい!

・あんま人いない?

・すげー


 チュートリアル終了後、私は黒檀丸と共に、赤レンガが特徴の広場に送り出された。リスナーに声をかけながら、ぐるりと周囲を見渡して、風景を動画に載せていく。

 リアルな3D画像と、牧歌的で耳になじむBGMに、コメント欄が湧き立つ中、気になるコメントがあったから、それに答える。


「ああ、ちなみにこのゲーム、今までのシリーズと違ってMMOなんで、開始地点が東西南北に、四つあるみたいですよ。北の『コクホクの町』、東の『セイトウの町』、西の『ハクザイの町』、そして南の『セキナンの町』です」


・そうなの?

・←さっきのキャラクリ画面でスポーン地点を選べる。場所ごとに店や施設の違いはない。愛華ちゃんは速攻でかっ飛ばしてたけど

・黒北、青東、白西、赤南かな?四神関係?


「説明ありがとうございます。まあ、この辺は公式サイトにも書いてあるので、気になる人は要チェック、という感じでお願いしまーす。私は冒険者ギルドに向かいますので。……黒檀丸、行くよ」


 ちなみに私は、初期配置決めのとき、間違えてパネルを連打したせいでセキナンの町ここになった。

 このチャンネルは解説動画じゃあないから、細かい情報収集は各自でやってもらおう。まずは散歩がてら、良さそうなクエストがないか、探しに行くかな。

 マップを確認し終えた私が、歩き出すのに合わせて、黒檀丸も動いた。うん。とてもリアルで、なめらかな挙動。技術の進歩を感じるね。


・なんかめっちゃ見られてね?

・PLにガン見されてて草

・UMA連れたVがMMOやってたらそうなる


 やっぱり汎用モデルとは明らかに違うアバターと、馬の存在は目立っちゃうなぁ。まあ気にしたら負け精神で、スルーするけど。

 ミュート設定にしているから、凸されることはないし、そもそも人の目を気にしてたら、ライバーなんてできないからね。


「町は赤レンガの道、屋根とか看板も赤色が多めですねー。これはさっき誰かが言ってた、『赤南』説濃厚っぽい? ……うん、第二エリアに早く進むより、他の町に行ってみたくなりますね」


・【悲報】極楽鳥花愛華、攻略組になる気ゼロ

・知ってた

・攻略目的ならテイマーは選ばない定期

・コレはエンジョイ勢の構え。。。!


 雑談と町の様子の中継をしながらだったからかな? 体感五分で、公民館くらいの大きさの建物に行き着いた。ゲームによくある謎言語の上に、『冒険者ギルド』とルビが振ってある看板が立っている。


「はーい、おなじみのギルドに到着でーす。突入リポート開始しますよー。あ、黒檀丸はさすがに入れないので、こうして……よし、設定できました。これで私が建物の中にいる間、この子は不思議な待機場所に、転送されるようになります」


・不思議な待機場所:とは?

・一気にご都合主義


「ゲームですから。それに、細かいところまでリアル準拠にしてたら、リソースが足りなくなりますよ?」


 私のセリフへのツッコミを受け流して、私は冒険者ギルドの扉を開けた。

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