井内 良吉

「おい、何だ? 今トイレから音がしなかったか?」

 科学実験室から、強面の男が顔を出した。科学を教えている、内藤先生だ。化学の教師であるにも関わらず、剣道で全国大会にも出場した経験を持つ武闘派だ。そして、僕のクラスの担任の先生でもある。

 ……いつもはいないのに、何でこんな日に限って先に実験室に来てるんだよ!

「ん? 何だ? 井内。お前、昼休みに何でこんな所にいる?」

「えっ、あ、あの、そ、それは、その……」

 黒魔術で校舎を爆破しようとしていたとも、一人で便所飯をしていたとも言えず、僕はしどろもどろになるしかない。そんな僕を見て、内藤先生は眉をひそめる。

「様子がおかしいな。それに、何でカバンなんて持ってる? 中身を見せてみろ」

「や、その、これは、駄目で……」

「……怪しいな。さっき聞こえた物音も、お前のせいか? ちょっと職員室で話を聞かせてもらおうか」

「え、や、ちょ、ま、待って! 引っ張らないでくださいっ!」

 内藤先生に首根っこを掴まれ、僕はズルズルと引きずられていく。引きずられながら、僕は再度、呪いの言葉を心中で口にした。

 ……いつか絶対、暗黒の高校生活を、吹き飛ばしてやるっ!

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スクール・ランチ・アンサンブル メグリくくる @megurikukuru

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