執念リセマラ勇者

りーしぇん

第1話 復讐を誓う

 村が燃えている。


 僕の村が燃えている。


 男は殺され、女子供は攫われた。


 魔王軍の仕業だな。


 許さない。


 村の生き残りである青年は誓った。


 ───魔王に復讐する!


 とりあえず今日は寝不足なので寝よう。


 ・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「おい!勇者!勇者よ!」

 家の扉を叩く音がする。

「……んん?」

 うるさい。とても。


 多分村長だろう。死に損ないが。


「あん?」

 一度布団から顔を出す。

「出てこないと扉ぶち破るぞい!」


「ああん……」

 再度掛け布団に顔を潜らせる。


 ……


 ……待てよ?今扉ぶち────


 バコォォン!!



「ひーーー」


 村長だけではなく、生き残った村人全員が青年の家に押し入ってきた。


「なんすかもう!物騒だな」

「昨夜もっと物騒な事があったじゃろ!なに呑気に寝とるんじゃ!」


「えぇ?」


 ────村が燃えている……


「あ」

 ベット横の窓から村の様子を見る。

 家々は壊され、そこらじゅうの地面に血がこびり付いていおり、酷い惨状だ。

「魔王軍来たんだっけ」

「そうじゃ!サラッと言っとるが!」

 青年は頭をボリボリ掻いている。


「昨夜襲われた直後は烈火の如く怒り、やる気をたぎらせていたじゃろうに……」


「ああ。寝たら忘れちゃうんだよね」

「いやポジティブじゃのう!」


 説明しよう!

 村で勇者と呼ばれているこの青年は一度寝てしまうとどんなに執念、執着を感じているものでもリセットされてしまうという性質を持っているのだ!


「ならばもういちど、やる気を出さんかい!執念を燃やしたお前さんの戦闘力は凄まじいことを、このワシは知っておる。」

「はあ」

「燃やせ!」

「いや燃やせと言われても」

「ならばお前の家を燃やそう」

「それはダメだ!」

「火を放て!」

「待って!」


村人のひとりが青年の家に火を放つ。

「おい!こらーー!!!」


青年は火をつけた村人を持ち上げ、遥か彼方に投げ飛ばした。


「おお!その執念のまま、魔王のもとへ向かってく────」

刹那村長も殴られ、首が360度回転し、絶命した。


「魔王軍!絶対許さん!」


そして青年は村を後にする。


執念勇者はまだ眠らない────

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