想い綴って謳って

ルト

第1話 出会いと初恋


陽射しが暖かい。

いつもと同じように授業を抜け出して昼飯を買いにこっそりと校舎を出る。

近くのコンビニでいつもと同じように焼きそばパンを買って校舎に戻り、

立入禁止の屋上へと足を進める

変わらないいつもと同じ日常だ。


「よっ…と。」

屋上で座りながら校庭を見つめる。

外では野球の授業中だ。

「このクソ暑いのに頑張りますねっと。」


そんなことを言いながら焼きそばパンを開け、

モグモグと噛み始める。


ガシャンッ


「!?」

誰かが来たのかと思い焦って振り返る

そこには今年入ってきたんだろう、

1年生の色のジャージを着た男子がそこには立っていた


「あぁ、1年生か。ここにいることは内緒な!」

「ぁ、と、」

「んで、何しに来たのこんなところに。ここ立ち入り禁止だよ?」


なんて、自分を棚に上げて言う。

が、その1年生は何故か持ってるノートに何かを書き始める


「ん?なんだよ、1年」

「ん!」

と、ノートを差し出された


『なんでここにいるんですか?』

「…君耳聞こえないの?」


コクリ。と彼は頷く。

その後さらにノートに書き足す


『サボりですか?』

「そうそう、サボりサボり〜

君もサボり?」


『球拾いです。』


と言った後に校庭を指指す


「あー、そっかそっか。

お疲れ様。ボールは見つかった?」


彼は首を横に振る

「一緒に探してあげるよ。」


そう言って立ち上がる。

「どの辺に飛んできたんだろ。

えぇと……」


ガサガサとその辺を探し回る。

ボールはすぐに見つかった


「お、あったあった。

ほら、ボール。」

と言って手渡す


パァっと笑顔を見せながら

ノートに『ありがとうございます』

と彼は書いてみせる。


(あれ?なんか、モヤッとした、なんだこれ)


「あ、あのさ。

昼飯、いつもここで食ってるから。

良ければ今度からおいでよ。

一緒に食べようぜ」


「ぁ、ぇ、」


(あ、変な事口走った……)

そう思ったが、彼は


『ありがとうございます!

でも、ここは普段立入禁止だから、中庭でもいいですか?』


「…あ、うん!中庭!中庭で食べようか」


何となくこの子のことが気になった。

ドキッとするような、モヤッとするような不思議な気持ちに包まれた。


これが、初めての恋だって気付くのはもう少し後の話。

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