第6話 霧島、夕焼
アヒラも顔が真っ赤になっている。
そんなことはない。
ただ幼馴染というだけだ。
「モテていいな、少年。羨ましいよ」
冷やかされると少し困った。
しょうがない、キハチはいつもこうなんだ。
ミケヌはアヒラのようにまだミケヌは海を見たことがなかった。
アヒラの話によれば海は御池なんかよりもずっと広くて塩辛いんだとか。
一度見たら忘れられないらしい。
いつか、アヒラの住んでいる鵜戸へ行って海で遊んでみたい。
今日は塩筒の爺やの話があるんだった。
村へ戻って話を聞かないといけない。
遊んでいるうちにもう夕闇が迫っていた。
辺りはすっかり暗くなっている。
御池の水面も藍色になり、深く澄んでいた。
山並みも赤く燃え、裾が黒くなっていた。
鷹が飛んでいる。
鷹が南に向かって飛ぶと何か得体の知れないものが飛んだ。
あれは何だろうか。
大きな鳥のようなものに人が跨っていた。
その鳥のような大きなものは赤い印と深い碧色に染まっており、どうやら鳥ではないようだった。
それにまたがった人もこの辺りの人間ではない。
顔に大きな二つも丸いものをつけている。
厚い上着をその者は身に着けていた。
異国の者だろうか。
鷹のようにその二本の翼を持ったそれは水面を切り、あっという間に水面へ消え去った。
何か幻でも見たんだろうか。
凄まじい音を上げ、その鳥のようなものに跨った人は大声で叫んだ。
一瞬ミケヌを見た。
顔にはあの丸い二つの物体が外れ、死ぬことを恐れないように微笑んだ。
テンノウヘイカバンザイ、と叫び、そして、一瞬で炎と化した。
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