第214話
◆
「え!?まさか、みはるん・・・別の男と?」
いつもだったら奔放なところがあっても失礼とそうでないところの線引きは割りと配慮できるのに、今日の
「私は
「という事は、冬樹君が!?」
「・・・はい、そうです・・・」
「あんなにみはるんの事を一途に思っている感じなのに意外だね」
ぼくも玲香と同感で、冬樹君が美晴さん以外とそういう関係になっていたというのが意外に思う。
「そう見えているのは嬉しいですけど・・・相手の方もいるしデリケートな話でもあるので詳しくは語れませんが、事情があって私と冬樹くんは付き合う前から同居をしていて、その事で私は一番近くに居るのが自分だと慢心していたのです。そんなところに、不幸な事故の様な出来事があって冬樹くんが別の女性とセックスをしてしまったんです。
幸いと言っては変ですけれど、相手の女性は精神的に参ってしまっていた為に慰めて欲しくて交わったものの冬樹くんとお付き合いする意志がなかったのです。
私はその女性と冬樹くんがセックスしているところを傍観しかできず激しい後悔をしましたが、次に交際したくて冬樹くんへ近付いてくる
「みはるんの心の傷を抉るような話をさせてごめん・・・」
話の内容に暗い表情へ変化していた
「いいえ、いいんですよ。むしろ明良さんには必要な話だったかもしれませんね。
現状に慢心してたり関係が壊れたらどうしようって躊躇している間に大事な
再び表情が明るくなって微笑みながら語ってくれている美晴さんの言う通りで、ぼくが怖いからと逃げていたら
『誘われたら・・・』なんて受け身で考えていたけど、雷斗さんほどの素敵な
「ありがとう、美晴さん。雷斗さんから好意を持ってもらったってどこかで慢心していたと思う。ぼくも雷斗さんに対して勇気を出して向き合おうと思えたよ」
「それは良かったです。明良さんにとって悔いのないように臨んでくださいね。
そうだ、ちょっと待っていてくださいね」
美晴さんはそう言うと一旦席を外し、すぐに何かを手に持って戻ってきた。
「これを持って行ってください」
美晴さんから手渡された物は片手で収まるくらいの大きさの箱で、すぐには何かわからなかったけど箱に印字されている『0.02mm』という文字で話にしか聞いたことがなかった
「なになに?
コンドームじゃん!
えっ、冬樹君ってXLなの!?」
横から覗き込んできた玲香が箱の正体に気付き、更に目敏くサイズまでチェックした・・・冬樹君のアレって
冬樹君の身長はぼくよりやや低いくらいだけど、身長とは関係ないものなのかな?
雷斗さんは冬樹君どころかぼくよりも身長が高いし、
「・・・うん、その、冬樹くんの・・・
「じゃあ、初めての時は大変だったんじゃない?」
「まぁ、痛かったけど、それでも気持ちが繋がった感覚で嬉しかったし幸せな気持ちだったよ。
むしろ、私が用意した避妊具がキツそうでそっちが大変だったかも?」
「そ、そうなんだね。キツイと何が問題なの?」
「うーん、やっぱり締め付けられるから痛いみたいだし、そのせいで集中できなくなってしまうみたい・・・
初めての時は冬樹くんが慣れていなかったのもあったけど、なかなか達さなくて時間がかかったよ。
そう言えば、その時に買った普通のサイズのも捨ててないから残っているんだけど、明良さん、それも持っていく?」
「うん、ありがとう。それもいただくね」
「開封済みで申し訳ないけど、あとで持ってくるね」
「どうせ開けるものだし、むしろサイズ違いで用意してもらえてありがたいよ。
何より
その後もぼくと玲香は美晴さんから性交体験を聞かせてもらえて、初めて触れる生々しい内容の連続にたじろいだ。
美晴さんはマイルドな表現で話してくれていたので刺激は抑えめだったのだと思うけど、性の体験談を聞くのが初めてのぼくからしたらどれもこれも刺激的過ぎた。
大学に入ってからは男子から時々シモネタを聞かされる事はあったけれども、それとはまたカテゴリが違う感じで内心では困惑のしっぱなしだった。
美晴さん自身の初体験が4ヶ月くらい前のことで、それほど詳しくないと言っていたけど、とてもそうとは思えない濃さで一度した決心が早くも揺らぎ始めていた。
それと今日始めて聞かされたのだけど、ぼくがしたイタズラのせいで冬樹君のトラウマを抉ってしまって、あの時からしばらく精神的な理由で勃起不全になってしまっていたとの事だった。今更ながら申し訳ない気持ちになり、実際に口にもしたけれどもう一度ちゃんと謝罪させてもらいたい気持ちになった。
冬樹君が勃起不全でできなかった間は自慰行為をしていたと言っていて、美晴さんみたいな清楚な
◆
終業式が終わり帰宅すると、美晴さんを訪ねてきていた
「こんにちは。ご挨拶できて良かったです。
美晴さんから聞いていると思いますが、これから色々あるので何かあった際には力を貸していただければと思います」
「もちろん協力するよ。みはるんはアタシの親友だし、それに迷惑をかけちゃってるから借りを返したいしね」
「ぼくも・・・いやぼくこそ根源だし、今日も良くしてもらったし必ず恩に報いるよ」
「ありがとうございます。今日は入れ違いになってしまいましたけど、今度はゆっくりおもてなしさせてもらえればと思います」
おふたりは挨拶を交わしたら帰られたのだけど、その僅かな時間でも雰囲気が以前とかなり違っていた様な気がするし、何より僕へ向ける視線に違和感がすごくあった。美晴さんに尋ねたら上擦った声で『き、気のせいだと思うよっ』と言われて、なんともよくわからないけどそれ以上触れない方が良いのだろうなと考え、それ以上言及するのはやめることにした。
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