第153話
◆
僕が学校のクラスに復帰することについては
もうどうでも良いと思っていた
その辺りも美晴さんとはちゃんと話をしているのだけど、頑なに理解してくれようとしてくれない。今日も学校での話し合いについていきたいとも言っていたし心配しすぎなようにも思う。
美晴さんの理解は得られないままだけど、約束の時間は迫っているので家を出た。美晴さんも一緒に家を出て途中で別れるまで、ずっと僕に翻意を求めてきていた。
約束の時間に余裕を持って学校へ着いたので校門の前でこのまま入ってしまうか近くで時間を調整して出直すか少し悩んでいたら声を掛けられた。
「フユ、こんなところで突っ立ってどうしたの?」
「ああ、ハルか。お前こそ今日は修学旅行中の祝日の振替で休みだったんじゃないのか?
・・・って、美波の付き添いか?」
ハルの隣に美波がいたのでその意図を推測し尋ねてみた。
「うん、美波ちゃんがオオカミの群れに飛び込むって馬鹿なことを言ってるから止めようと思ってたんだけど、考えを変えないからあたしも話を聞いてできることをしようかなって・・・これでも生徒会長だし」
「
「いーや、本当に馬鹿だよ。自分の置かれてる状況を全然理解してないんだもん。
まぁ、あたしも美波ちゃんと学校生活を送りたいし、高校も一緒に卒業したいって気持ちもあるからフォローはするけど、お馬鹿はお馬鹿だよ」
「ハルは美波がクラスに復帰することに反対だけど、反対しきれない気持ちもあるって感じか?」
「そんなところだね。だから、今日の話し合いにあたしも参加して見届けたいし、決まったことにはできることをしたいって思っている感じ」
「わかったよ。生徒会長サマに期待させてもらうよ」
校門前でハルや美波と話をしていたら時間が過ぎていき約束の時間まで少し早い程度になったので、そのまま3人で学校へ入っていった。
結果から言えば、僕と美波は学校側の準備ができたら元のクラスへ復帰することになった。ただ、月曜からハルと生徒会副会長になった
ハルが積極的に発言をし、万が一今後美波のことを害するような言動をする生徒が出てきたら厳しく対応すると言うことで学校として今一度釘を刺すことや、どうしようもなくなった時は柔軟に登校しなくなっても卒業までは担保することの確約を得ていた。
そして、3年に進級した際にはハルと美波と僕は同じクラスになることも約束してもらった。
余談だけれど、校長先生は姉さんを引き合いに出してハルの事も頼もしい生徒会長になりそうだと仰っていた。普段はカリスマ的な印象が強い姉さんの影に隠れているけど、ハルも頭が切れるし正義感と公平感と共感のバランス感覚は姉さんよりも良い・・・冤罪事件の時はそのバランス感覚が僕へ牙を剥いたのだけど・・・から姉さんとは違った良い生徒会長になれると思う。
◆
僕らが修学旅行へ行っている最中に問題が起きて、実質的にクラスから外れていた神坂君と
僕からしてみたらイレギュラーな負担が増えることになるわけだけれども、その事について負荷を分散するように求めたところ特別教室の担当をしていた
校長先生からの提案ではあったものの高梨先生は快諾してくれて、その後の打ち合わせでも僕の負担を巻き取るように色々提案してくれて、教師になってから一番幸運な日になったと思う。本来なら振替休日にが潰れて残念な気持ちになるところがむしろ時間外手当がもらえて高梨先生とマンツーマンで話をできたのだから神坂君たちには感謝しかない。
彼らが早く登校してくれればその分だけ高梨先生と話をするきっかけを多く作れると思うので、今日中にやるべきことを全部終わらせて月曜の朝イチには校長先生の許可や必要な手続きを終えて、火曜日から神坂君たちが登校できるようにしようと思う。
不安要素は転校生がどんな生徒なのか高梨先生からの話だけではピンとこなかったところだけど、それすらも高梨先生と会話するきっかけにできるのでモチベーションが上がるというものだ。
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