第152話
◆
初日の夜にすーちゃんとの蟠りもかなり解消して2日目からは数カ月分を取り戻すかのようにすーちゃんとよっちゃんとの3人で楽しみながら過ごした。
2日目と3日目はおはようからおやすみまでずっと話をしていたと思うし、最終日も帰り道でふたりと別れるまでがあっという間だった。参加できなかったフユや
家に戻って誰も居なかったので、お土産を持って美波ちゃんの部屋へ行ったらお姉が来ていた。
「美波ちゃん、これ、お土産。小父さん小母さんと一緒に食べてね」
「春華ちゃん、ありがとう。家族でいただくね」
「うん。
それにしても、お姉はなんで
「美波がクラスへ復帰すると言うからやめるように話をしにきていたんだ」
「え?なんで?美波ちゃん、復帰しようとしてるの?」
「うん。
「え?フユが?それこそなんで?」
「それがな、修学旅行の邪魔をしたらいけないと思ってあえて連絡しなかったんだが、修学旅行の初日の夕方頃に裏サイトへ特別教室の女子生徒を狙い撃ちした悪意ある投稿があったんだ。
本題ではないから書き込み内容の詳細は避けるが、それを冬樹がそれらの書き込みを行っている者たちに向けて、今後も繰り返すなら特定して進路先へリークするという警告を行った」
「夏菜お姉ちゃん、冬樹は自分じゃないって言ってるよ」
「まぁ、たしかに冬樹本人は認めてないが他に居ないだろう。
それで裏サイトの書き込みは沈静化し、話題はその最初に悪意ある書き込みをした連中への攻撃的なものや責任転嫁と言った物へ変わってきているのだが、これも冬樹は認めていないが冬樹は復学することで話題の矛先を自分に向け再発を防止しようとしているのではないかと思う。
それで冬樹は今日病院へ行ってきて医師から復学することについて条件付きながら許可が出たので明日学校へ行って話をしてくるという連絡があり、それを聞いた美波も復学すると言い出したんだ」
「ほら、冬樹だけでなくて春華ちゃんもクラスメイトになるし大丈夫かなって?
それにせっかく冬樹とクラスメイトになったのに滅茶苦茶になっちゃったから取り戻したいなって」
「だいたいしか話が見えてないけど、あたしも反対かな。その書き込みの内容も想像できるし、学校へ行ったら美波ちゃんが傷付くだけでしょ。
それにせっかくフユがやろうとしていることを無駄にしちゃうじゃん」
「私もそう言っているんだがな・・・」
お姉が美波ちゃんを止めようとするのは当然だと思うけど、フユに対してはどうなんだろ?
「ところでさ、美晴お姉はよくフユが復学するって言うのを止めなかったね」
「止めはしてたぞ。ただ、冬樹が引かなかっただけだ。
むしろ駄々っ子みたいに喚きもしたし、美晴さんにそんな一面があったのかと驚かされたくらいだ。
私も反対はしたが、美晴さんがあまりにも必死だったからそれに呑まれてあまり強くは言ってなかったな」
「そうなんだ。それにしても駄々っ子みたいな美晴お姉って想像ができないんだけど、そこまで強く反対されたのにフユは考えを変えないんだね」
「それも不思議なところだな。前までの冬樹だったら止められたら取り下げていたと思うんだが、何がそこまで復学に拘わらせるのか・・・」
「明日学校へ行くのって、美波ちゃんも行くの?」
「うん、行くよ!」
「じゃあ、あたしもついていくよ。明日は
「おい、春華。お前は反対じゃないのか?」
「基本的には反対だけど、今はフユの考えが見えてこないし、学校との話まで含めて確認してから賛成するのか反対するのか決めたいと思うんだよね。
まぁ、あたしが何を言っても美波ちゃんもフユも考えを変えないかも知れないけど、その時はフォローに回るだけだよ」
「まぁ、
「春華ちゃん、ありがとう」
「お礼を言うのは早いよ。それにさ、あたしはフユと美波ちゃんとずっと一緒の学年で生活してきたから居ないのは寂しいし、一緒に卒業したい気持ちもあるんだよ」
◆
冬樹くんが裏サイトの騒動をきっかけに通常のクラスへ復帰すると言い出し、
美波も他の
更に言えば、冬樹くんがそこまでして守ろうとしてくれているのに自分も復帰すると言いだしている美波にも苛立っている。
そもそもの話、美波は自業自得の部分が大きいのにそれを忘れてしまっている。
たしかにそれ相応の代償は払う羽目になって傷付いたのはあると思うけど、だからと言って冬樹くんの優しさに甘えるのは許しがたい部分もある。
本当は学校との話し合いについて行って止めたいけど、逆に他の生徒達に冬樹くんへの悪い印象を植え付けることに繋がりそうだしもどかしい・・・
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