第154話
◆
学校での今後の相談が終わって、
「実はね、
メッセージの返信が来なくなったどころか既読も付かなくなって電話をしてみたのだけど『現在使われておりません』ってアナウンスが流れてくるだけで、どうしても気になったからお家へ行ったのだけどお父さんから『縁を切って出ていったから知らない』と言われたの。
心配だからどうにかして連絡を取るか会うかしたいのだけど、どうすれば良いのかわからなくて・・・」
「二之宮は
「ええ?どうして?」
「二之宮の両親がネグレクトみたいな状況で食事も与えないような状況だったらしくて、見かねた那奈さんが警察や児童相談所と連携して二之宮を保護したらしい。
連絡を取りたいなら那奈さんに聞いてみるからちょっと待っててくれ」
美波達と他愛のない雑談をしながら、那奈さんへメッセージで美波が知りたがっているから教えて欲しいという旨のメッセージを送ったら、5分も待たされることなく返信が来て今のメッセージアプリのIDと電話番号を教えてもらったので美波に共有した。
◆
近い内に冬樹とクラスへ復帰できることになった。しかも
もちろんみんなが言うように嫌なことを掘り起こして面白おかしくわたしを傷付けようとしてくる人も居ると思うけど、実際に
第一冬樹のことが大事な存在だと再認識した今は関係を深めていきたいと思うし、今はお姉ちゃんと付き合っているけど未来がどうなるのかなんてわからないから、恋愛対象として見てもらうためのアピールをするためにも必要なことで、虎穴に入らずんば虎児を得ずということわざの通りだと思う。
連絡が取れなくなっていた凪沙さんは鷺ノ宮くんのお姉さんの元にいるらしい・・・どういう経緯なのかはすぐに飲み込めなかったけど、連絡先を教えてもらえて良かった。
◆二之宮凪沙 視点◆
冬樹の幼馴染みが私の連絡先を知りたがっているとメッセージが来たけど教えて良いかと那奈さんから言われた。
その幼馴染みは美波さんのことだろうし、連絡が取れなくなって心配をさせてしまっていたのだろうと思いすぐに了承し、那奈さんは冬樹へ返信していた。
そんな事があった11月ももう終わるという日の夜に想像していた通り美波さんからメッセージが届いて、私からもメッセージを返したのをきっかけに通話アプリに切り替え近況を教えてもらった。
内容は私との連絡が取れなくなって心配していたことから始まり、美波さん達が特別教室で登校していることが裏サイトで暴露され悪意のある書き込みがされたのを冬樹が撃退したこと、そんなことがあった流れで美波さんと冬樹が元のクラスへ復帰することになったことまで・・・
私からも那奈さんの元に引き取られることになった経緯を伝えた。
時期の約束こそしなかったものの、お互いが落ち着いたら会おうという約束を交わして通話を終えた。
そんな様子を側で見ていた那奈さんは「心配してくれるお友達がいて良かったわ」と喜んでくれたけど、彼女は私が余計なことをしなかったら
那奈さんといる様になってからこういう事が多い。以前は何も痛痒を感じなかったことでも、ひとつひとつ罪を掘り起こされ自分の醜悪さ愚かさ残酷さを突き付けられ胸が痛む。那奈さんもその対象のひとりではあるけど、そういった枠を超えて那奈さんの考え方が私へ牙を剥いてくる。
ただ、人として壊れた感覚でいた私を受け入れて崇高な善意で再構成してくれていることは感謝している・・・できることなら、私が大きな過ちをしでかす前に出会いたかった。
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