第130話
◆
迷っている内に気付いたら自宅の最寄駅に着いていて、結局連絡をしないまま帰って百合恵への連絡も帰った後にすることにして歩き始めた。
家の前まで着き自分で鍵を開けて入るかインターホンを鳴らすか迷ったけど、家出娘が帰ってくると思っていないところで鍵が開いたら驚かせるだけだろうと思いインターホンを鳴らした。
思いのほか早くドアが開き中からお母さんが出てきた・・・うちのインターホンは家の中からカメラで顔が確認できるのでカメラの前で立っていたら中から見えるので、姿だけ見て急いで出てきたのだと思う。
「みゆき!」
お母さんが駆け寄って抱き着きながら叫び声と思う声量で名前を呼ばれた。
「良かった!ごめんなさい・・・」
「ただいま。私こそ心配をかけてごめんなさい」
怒っていたはずなのに、お母さんの私を見て安堵した顔を見ていたら気持ちが融解して心配をかけたことへの申し訳無さと気不味さだけが残っていた。
お母さんもお父さんも私が出て行ってすぐに言い過ぎだったと思っていたとのことで謝ってくれたし、百合恵に対しても既に謝罪の言葉を述べているというので私も素直に謝った。
私に男っ気がないのは
しかし、私が家出をしてそれから冷静になって同性愛などセクシャルマイノリティについて調べて自分たちが
百合恵も両親へは
また、そう遠くない未来に実家を出て一人暮らしをしたいという話もしたら、お父さんは抵抗感があるようだったけど大人なんだからそれもひとつの選択肢だと納得してくれたし、お母さんも寂しくはなるけど私が成長したと思って理解してくれた・・・どれだけ幼稚だと思われていたのかしら?
◆
病院を出てお母さんと
家の最寄り駅に着くと改札の前に冬樹くんが来てくれていて安堵した。
みゆきさんは責任を感じて家へ帰ってしまったとのことで、ご両親と仲違いをして家出をしていたのだから私が気を遣わせてしまったのは申し訳なく思う。今日はさすがに驚かされたし冬樹くんの
でも、私が冬樹くんの家に居てくださいと言うのもおかしな話になるので、みゆきさんがご両親と仲直りできることを願うしかないかなと思う。
冬樹くんはとても気遣ってくれて何でも・・・お風呂とトイレ以外は・・・甲斐甲斐しくお世話をしようとしてくれて、申し訳ない気持ちになりながらも嬉しくもなった。
愛してる人にこんなにも気遣ってもらえるなんて幸せ者だと感じている・・・私を気遣ってだと思うけど、みゆきさんの事はほとんど触れずに何気ない会話に終始した・・・
・・・けれど、今話題になる事は学校での出来事になるし、そうなると当然その話で出てくる人物は美波ばかりになる・・・楽しそうに微笑みながら美波のことを話す冬樹くんを見ていると、やっぱり美波のことがまた好きになったのではないかという不安な気持ちが大きくなるんだよね・・・
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