第129話
◆
みゆきさんから驚かされる告白をされたけれど、更に聞けば妊娠検査薬で陽性が出てその事を
そんなみゆきさんからの説明が一通り終わって少ししてから
ハルと姉さんは寝てる美晴さんの様子を見て精神的な疲れが出ているだけなので休んでいれば問題なく回復しそうだという話を聞いて安心すると『居ても邪魔になるだけだろうし』と言ってすぐに帰って行った。
ただ、ハルだけでなく姉さんもみゆきさんに対してよそよそしかったのが意外だった。ハルは面識がほとんどない大人を相手によそよそしくなるのは普通といえば普通だけど、姉さんは初対面のもっと目上の大人が相手でも物怖じすることはないくらいなので意外だったけど、美晴さんの事があったからかもしれないし気にするほどのことではないと思う。
ハル達と入れ違いになるような感じで岸元の小母さんが入ってきた。
邪魔してはいけないと思い、美波と小母さんに挨拶をしてみゆきさんと一緒に帰ることにした。
病院を出てスマホを確認すると
家へ帰路ではみゆきさんが落ち込んだままで言葉少なく今日すぐに家へ帰り、もし両親が入れてくれなくても僕の家には戻らずホテルに泊まると言い、さすがに今日じゃなくてもと翻意を促したけど美晴さんの事を考えたらふたりで一緒にいたらダメだと固辞された。
さすがにみゆきさんの言う事がわかるし、美晴さんを蔑ろにはできないので申し訳ないと思いつつもみゆきさんが家へ帰ることを見送るしかできなかった。
前のマンションから美晴さんが僕の家に住むようになって3ヶ月近く経つけど夜ひとりになるのは初めてで、美晴さんやみゆきさんがいる生活が当たり前になっていて寂しく思っている。
その前は2ヶ月位ひとりで暮らしていたのにおかしなものだと思う。
◆
みゆきさんに付き添って行った産婦人科の前で意識を失ってから、意識を取り戻したのは別の病院のベッドの上で、そのあと診察を受けてから休むように言われるがままに眠り、再び目を覚ましたらお母さんと
「お母さん、美波・・・」
「美晴、起きたのね。心配したけど、疲れが出ちゃっただけみたいで良かったわ。
今日帰っても良いし一晩様子見しても良いと言われてるんだけど、どうする?」
「ありがとう。帰っていいなら帰りたい・・・」
「そう、わかったわ。じゃあ、そう看護師さんに言ってくるから。
美波、悪いけどお姉ちゃんのことお願いね」
「うん、わかった」
そう美波が返すとお母さんは足早に病室を出ていった。
「美波も心配させちゃってごめんね」
「それは良いよ。何か大変なことがあったんじゃないの?」
「そうね。たしかに精神的に色々と重なったけど、どちらかと言えば緊張していたところで気掛かりだった事が解決して糸が切れてしまった感じだからもう大丈夫よ」
「え?もう大丈夫なの?」
「どうしたの?私はもう大丈夫よ」
「そっか、良かったね」
「そうね、ありがとう」
お母さんがすぐに戻ってきて、あとは待っていれば良いという状況になって久しぶりに3人で話をしていたらみゆきさんから『私は自分の家へ帰るから安心して』とメッセージが届いて、責任を感じさせてしまったことを申し訳なく思う。
病院を出る時間の目処が立ってから冬樹くんへ『少し遅くなりそうだけど、今日帰るね』とメッセージを送ったら、駅まで迎えに来てくれると返信があったので甘えることにした。
◆岸元美波 視点◆
既に話が付いていて公認の二股で3人とそのこどもで仲良く家族としての生活を送っていくつもりなのだろうか?
お姉ちゃんは本意ではなくても冬樹が望めば受容するように思うし、冬樹も妊娠をさせておいて相手に何もしないような無責任な人間ではないから考えられなくはないけど、冬樹は病院で赤堀さんから話を聞くまで妊娠していたことを知らないはずだし、お姉ちゃんも今日知らされてショックを受けて倒れたようだし、それに連絡を受けて病院へ来るまではわたしが冬樹とずっと一緒にいたから3人で話をするタイミングはなかったはず・・・
という事は、冬樹にはまだ話していないけど、お姉ちゃんと赤堀さんの間で先に話をまとめた?
そうなのだとすると、
恋人をシェアするという感覚が全然わからないけど、冬樹と関係がなくなるよりはましなのかもしれないな。
◆神坂春華 視点◆
「お姉、フユはホントに赤堀さんを妊娠させたのかな?」
「あの感じだと恐らくはそうなのだろうな。
ただ、情報が少ないしさっきも言ったように冬樹たちが何か言ってくるまでは知らない事とするんだ」
「うん・・・」
そうは言っても気になるものは気になる。
フユのことだから誤魔化す様なことはしないと思うけど、美晴お姉はどうなっちゃうのかな?
夏休みからずっと支えてくれていたのは美晴お姉なのに、他の人と妊娠する様な事をするなんて無責任な浮気者だよ!
もやもやするし、ちゃんと聞き出して白黒付けたいな。
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