第47話
◆
「
思わず口を衝いて出てしまった。
「神坂君はどうしてそう思ったのかしら?」
当たり前だけど不気味な笑みを浮かべていた様に見えたからという事を言えるはずもなく、客観的な事実で返答した。
「ちょうど自主休校中で彼らは学校にいないし、噂の勢いがまだある夏休みが始まる前に事態を収束させようとしたのかなと思ったんだ。
それに先生の話を聞いても驚いている様子もなかったから、予想ができていたのかなという雰囲気も感じたよ。
ただ、そうすると俺らと一緒に対応していこうと言っていたタイミングとは噛み合わないから不思議だなと思った部分もある」
「たしかにそうね。私が
神坂君たちに隠すつもりはなかったのだけど、
言っていることにおかしなところはないけれど、高梨先生や
先生の顔を見ても歯に何か詰まったような表情をしているので、思うところがあるのかもしれない。
「そうだったんだ。タイミングが悪かったんだね」
「ええ、残念ながらタイミングが噛み合わなかったのよ」
「あっ、あのさっ、フユ、良いかな?」
「何、ハル?」
「あたしも言いそびれていたことがあって、
仲が良いって
その
しかも、来なくなる直前は良いことが有ったみたいに振る舞っていたみたいで・・・」
「時期と言い、状況と言い、
美波はここ最近ずっと翳った表情ではあったけど今の会話の間に翳りが強まったので気にはなったけど、それを横へ置いて話を進めた。
「そっか、まぁ、そこまで話が出たのなら手持ちの動画を全部出そうか?
仲村先輩は協力したくないということだし、二之宮さんと美波の分だけでも追加で提出する?
警察に出したのは二之宮さんが薬物らしきものを使った時のだけだけど、それ以外も全部」
「そう、神坂君はその時のしか表に出してなかったのね」
「ああ、それだけで十分だと思ったし、
「なるほど、そういうことだったのね」
「ちょっと待って!」
俺と二之宮さんのやり取りに慌てて大きな声を上げて美波が割って入ってきた。
「動画ってどういう事!?」
「ああ、美波たちにはちゃんと説明してなかったね。
例の空き教室や校内の何箇所かに防犯カメラを設置して鷺ノ宮たちが
だから、俺は美波や二之宮さんたちが鷺ノ宮たちに何をされていたのかを知っていたんだよ」
「
「ああ、そうだよ」
「いやぁーーーー!!!」
「美波ちゃん、待って!」
美波は耳が痛くなるような悲鳴をあげると駆け出し部室を出ていき、少し遅れてハルも美波を追い掛けて出ていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます