第42話
◆
私は中学までは見た目が地味でクラスに馴染めず、イベントがある度にいつも隅の方でクラスの様子を見ているだけの人間だった。
幸か不幸か同じ様に地味なクラスメイトがいたし、いわゆる陽キャのクラスメイトから多少のイジりをされることはあっても暴力を振るわれたり私物を壊されるような悪質なイジメはなかったのでそんなに悪い学校生活でもなかったと思う。
特に趣味もなかったので時間があれば勉強ばかりしていた様な学生であったことが功を奏し、学力は常によく中学では近隣で学力が高いと評判の
その受験当日に運命的な出会いがあった。
遠目からでも理知的でカッコよく見え、しかも優しそうな雰囲気をまとっている他中学からの受験生の男子だった。
そのまま
幸い秀優高校に推薦で合格することができたので、受験勉強を放して全力で美容やファッションに注力していたことがプラスに働き入学式の時には周囲から注目される美少女と言われるようになっていた。これで、冬樹に存分にアプローチを掛けていこうと思っていたが、残念ながら1年では冬樹とは同じクラスにならなかった。それでも、私はできる限り彼のことを見ていた。
冬樹には双子の妹の
岸元さんは冬樹と同じクラスではなかったので、ずっと一緒に居るという事はなかったけれども、それでも私からしたらその一緒にいる頻度は看過し得ないほど長い時間で一緒にいる時は濃密な関係に見えた。ベストカップルだと称賛する生徒も多くいたが、私の感情はそれを認めることができなかった。
一方的に冬樹を見続けることに終始した1年はあっと言う間に過ぎ、高校生活2年目の春を迎えた。
すべての運を使い果たしたのかもしれないと思うくらいの幸運に恵まれた・・・冬樹と同じクラスになれたのだ。
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