第32話
◆
買ってきたお酒を冷蔵庫へ入れ、俺はお風呂の用意をし、
風呂のお湯張りができると家主だからと一番風呂に入るように言われ、先生や美晴姉さんはまだ部屋の準備をしていたこともあって先に入ったけど、後から先生たちが使うと思うと気が引けてシャワーで済ませてサッと出てしまった。
すぐ出るとみゆきさんが何やらニヤついて俺を見てきたけど、何も言わずに風呂へ入っていった。
みゆきさんはそんなに時間をかけなかったもののシャワーで済ませてすぐ出た俺よりは時間がかけてから出てきた。
「おいおい、冬樹ぃ。なんで湯船につからなかったのぉ~」
そんな事を言いながら嗜虐心もうっすら覗かせた笑顔で寄ってきて、何も言えないまま思考停止かけている俺に対して肩を組んできた。
「おうおう、冬樹ぃ。みゆきお姉さんにときめいちゃったかぁ」
「あ、あの。女性との免疫がない男子高校生にその様なお戯れはご遠慮願いたいのですが・・・」
「そっかぁ、免疫がないのかぁ。でも美晴ちゃんとは幼馴染みなんでしょ?
あと美晴ちゃんの妹と、冬樹の姉と妹もいるんだよね?」
「いますけど、
だ、第一、みゆきさんとは今日初めてお会いしてからまだ数時間しか経っていませんよね?距離感おかしくないですか?」
「アタッ」
いきなりみゆきさんが痛がって離れた。
「みゆき!あなた何してるの!」
振り返ると、そこには初めて見るものすごく怒った形相の先生がいらっしゃった。
「いたたぁ。ひどいよ百合恵ぇ。冬樹と親睦を深めてただけじゃない」
「接触が過度なんです!」
「えー、肩組むのくらい普通でしょー」
「普通、初対面の異性にそんなことはしません。ましてやあなたは30歳で、神坂君は16歳なんですよ!」
「まーしょうがない。こわーい先生が怒るからスキンシップは一時中止ねー」
「一時じゃなくて、ずっとダメです!
先生が呼びかけると美晴姉さんがやってきた。
「この調子に乗ってるお馬鹿が神坂君に抱き付くので、お互いお風呂に入っている間に見張りましょう。
岸元さんがお部屋のお片付け済んでいるなら、交代でお風呂に入ってきたいのですけどどうですか?」
「もうほとんど終わっているので大丈夫です。
良かったら先生から先にお風呂いただいちゃってください」
「わかったわ。じゃあ、お先にお風呂いただくわね」
「百合恵ぇ。残念ながらここの純情ボーイは湯船につかってないから、バスタブに冬樹成分は入ってないわよー。残念だったわねぇ」
「残念じゃありません!
それにしても、神坂君、気を使わせてしまいましたか?」
「お気になさらないでください。俺が勝手に入れなかっただけですから。
そもそもいつも1人だったからシャワーで済ますことがほとんどですし、気にしないでください」
「まぁ、今からもう一回は入れという方が変ですし、明日からは気遣わないでくださいね。それでは岸元さん、お先にいただいてきます」
そんなやり取りをしてから、先生がお風呂へ行き、あがってきたら今度は美晴姉さんが交代で入ってきて、4人がお風呂に入り終わった辺りでピザが届いた。
まだシラフのはずのみゆきさんがこれからお酒を飲むのだと思うととても気が重くなっている・・・
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